三人で雪だるまを作った次の週
セブがポッターにちょっかいをかけられていた、
とリリーから話を聞いた。
今回はポッターが一人でセブに突っかかったと…
シリウスはリーマスと一緒に後ろで呆れていたみたい


その日、私は久しぶりに夢を見た

暗い…地下室にいてじーっと床を見ている
上からは二つの声…男と、女。
私は誰の意識の中にいるんだろう…?


「顔をあげよ、セブルス」
「はい、我が君…」


セブルス、と呼ばれ上を向くと…
目の前には例のあの人と…誰…?
って、ちょっと待って。
セブルスは例のあの人と会うってこと?
もうそこまで近付いているの?
セブの顔を見たい。
いつ起こる夢を見ているんだろう…
まだまだ先の未来なら、きっとまだ…
間に合う、はず。


「セブルス・スネイプ。ルシウスが認めた男、か…
 なるほど。お前は闇を秘めているな…
 何を望む?セブルス」
「僕は…ただ、一つの愛を」
「ふん。愛か…」
「そして復讐を」
「ほう、それは面白い…
 期待しているぞ?セブルスよ」
「必ずや、ご期待に答えます」
「ベラトリックス」
「はい、我が君」
「セブルスに飛び方を教えてやれ」
「もう教えるので?」
「将来有望な若者は大事にしなければ」


行くぞ、ナギニ
そう蛇に声をかけて去って行った
あれが例のあの人…なんていうか…
顔も青白くて不健康そうな人


「……ついてきな」
「はい、レストレンジさん」


ベラトリックス・レストレンジ
それがこの女の人の名前か…
起きたら調べなきゃ


「言っておくけど、私は認めてないからね
 あんたのことを見張ってるよ、いつでも
 いいか、覚悟してな。セブルス・スネイプ」





「…!エリー!エリーったら!」
『…っ!わっ!り、リリー…?』
「起きて、もう朝よ?」
『あ、あぁ…そう…』
「…大丈夫?顔色が悪いわ」
『えぇ、そうね…ダンブルドア先生にお会いしなきゃ』
「夢を見たの?悪い…夢…?」
『どうだろう…良い夢ではなかったけど
 もしかしたら救えるかもしれないから…』
「そう、じゃあ急いで大広間に行きましょう
 今ならまだ先生も大広間にいるかもしれないわ」
『そうね…すぐ行かなくちゃ…!』
「待ってエリー!髪くらいとかして…ってもう!」


私は女子寮を駆け降りる
談話室にポッターの姿が見えた
夢の中のセブの声が頭の中を駆け巡る
きっとセブが手に入れたい愛はリリー
復讐したいって言うのはポッターだと思う…
今はちょっかいで済んでいてもこれから
いじめに発展しないとは限らない。
もしそうなったら…?私はどうすればいいの…?


「やぁ、エリーおはよう!リリー見なかった?」
『…ジェームズ・ポッター』
「どうかした?」
『セブルスに変なちょっかいかけないで
 もし、もし!セブルスが変な道にいったら
 あなたのせいだから!!馬鹿!』


そう吐き捨てて談話室を出る
後ろでポッターとリーマスが
「僕、何かした?」
「君は余計な事しかしないだろ」
という会話が繰り広げられている
それからポッターのリリーを呼ぶ声

すべてを振り払って走り続けた


「おい、どうした」
『び、びっくりした…!』


急に腕を掴まれる
振り返ればシリウス・ブラック


「何かあったか?」
『私、急いでるの』
「それは見たら分かる」
『離してくれない?』
「ちょっと落ち着けよ、エリー」
『分かってる、わよ…』


腕を降ろすとシリウスも離してくれた


「ジェームズがスネイプにちょっかいを
 出してるのは事実だ。それでもあんな風に
 言うのは、正しいとは言えないだろ?」
『うん…後で謝る…』
「いい子だ(頭ぽんぽん)」
『ちょっと、子供扱いしないでよ』
「まだまだ子供だろ?(にや)」
『シリウスだってがきんちょじゃない』
「なっ、がきんちょ!?」
『ふふ。じゃ、私行くから』
「おう」


シリウスに別れを告げてまた走り出す
さっきよりも軽やかに走れる気がする
あくまで気がするだけだけど…(笑)

まだ大広間にダンブルドア先生はいるかしら…?

……いた!
ダンブルドア先生!


『ダンブルドア先生!大切なお話があるんです
 お時間をいただけますか…!?』
「おはよう、エリー。朝ごはんは食べたかね?」
『いえ、まだです。そんなことより』
「そう焦るでない。おいで、校長室で話そう」
『はい、先生…』


ダンブルドア先生の後をついていく
早く話したくて、もどかしかった
先生は校長室にハウルエルフを呼ぶと
私の朝食と紅茶を頼んだ。
ハウルエルフはすぐに並べてくれた


「食べるのじゃ。食べながら話せば良い」
『はい、先生』


私は先生の言う通り朝食を食べながら
今日見た夢の話を一言一句間違えず話した
エリーはどう思う?
そう先生に聞かれたからさっき考えた
自分の考えも一緒に話した
セブはずっと前からリリーのことが好きでした
そう言えば先生は少し驚いていたみたい


「ふむ…セブルスはXmasは実家に戻っていたかの?」
『Xmasは…いえ、学校に残っていました』
「そうか…」
『先生、セブは…その…』
「まだ大丈夫じゃ。向こう側と接触はしておるまい
 接触する時間がないんじゃから。のぅ…?」
『良かった…まだ間に合いますよね?』
「それはエリーとリリー次第じゃよ
 セブルスの心の闇を少しでも救わねば…」
『私とリリー次第……』
「エリー、話してくれてありがとう
 さぁ、授業が始まるからおいき」
『はい、ダンブルドア先生』


はぁ…
私はどうすればいいんだろう…


足取り重く寮に戻った





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