次の日、ポッターが起きてきたのは
一時間目の遅刻ギリギリの時間だった


「はぁっ、はぁ…」
「ジェームズ、よく間に合ったな(笑)」
「笑いごとじゃないよ、シリウス」
「珍しいね、ジェームズ。
 あんなに起こしても起きないなんて…」
「あー、うん…ちょっとね」
「あ、朝ごはんは…食べた、の…?」
「食べる時間があったと思うかい?ピーター」
「思わない、けど…」
「あぁ、お腹ペコペコで死にそうだよ!」
「……チョコレート食べる?」
「遠慮しておくよ、リーマス…」


授業に間に合って良かったと胸を撫で下ろした
私のせいで遅刻なんてされたらたまったもんじゃないわ


「ポッターは寝坊してもうるさいのね」
『本当、もう少し静かに出来ないのかしら?』
「リリー!エリーも!おはよう!」
「無視よ、エリー」
『くす、分かったわ』
「なんで無視するのさ!?」
「Mr.ポッター。静かになさい」
「はい、マクゴナガル先生……」


まだもの言いたそうにしていたポッターだが
先生に止められて大人しくなった


変身術の授業は本当に楽しくて
何度も何度も、繰り返し練習した
マクゴナガル先生からお褒めの言葉と
点数をもらってリリーとはしゃいだ(笑)
授業も終わり、リリーと教室を出る


「エリー、あなた本当に変身術の才能があるわ!」
『ふふ、私もマクゴナガル先生みたいになれるかしら?』
「あら!エリーならなれるわよ!応援してるわ!」
『ありがとう、リリー』
「リリー!エリー!やっと話せるよ!」
「ポッター。あっち行ってちょうだい」
「残念ながらエリーに用がある」
「ブラック、それならここで話して」
「何?僕たち、先に行ってようか?」
「あぁ、待ってリーマス。僕らも行くよ
シリウス、この話は後にしよう…」
『大切な話なの?』
「こないだエリーが言っていた
世にも珍しい変身術の本が手に入ったんだ
シリウスの家のハウスエルフが見つけ出してね
エリーに渡す約束してただろ?」


???
そんな話…したかしら…?


「ポッター、エリーの名を呼ばないで」
「ややこしいだろ?リリー」
「私の名前も呼ばないで」
「冷たいなぁ、リリーは(笑)」
『それで?本は?』
「あいにく本は今は持ってない」
「どうだろう?晩ご飯の後にでも渡したいんだけど」
『分かったわ、行けばいいんでしょ?』
「あぁ、頼むよ」
「ほら、行くぞ」


シリウス達は去って行った


「いつの間に本を借りる約束してたの?」
『ん〜、多分前に本を借りた時にだと思う
あんまり覚えてないのよね、それが』
「覚えてないことなんてありえないはずでしょう?」
『思い出せないだけかも』
「そうかしら?怪しくない本ならいいわ」
『それは大丈夫よ(笑)』


そうだわ、ついでに私が読み終わった
アニメーガスの本でも貸してあげようかしら?
そう思いながら、リリーと次の教室に向かった




そして晩ご飯の後、私はアニメーガスの本を
二冊持って図書館に向かっていた。
定位置に二人の姿を見つける


『お待たせ』
「あぁ、待ってないよエリー」
『二人に本を持って来たわ。アニメーガスの本よ
私は読み終わったから二人に貸してあげる。
でも次に貸す人がいるからなるべく大切に読んで
出来れば早めに返してくれる?』
「本当かい?ありがとう、エリー」
「複写すればいいだろ」


シリウスは杖と羊皮紙と羽ペンを取り出して
本を含む4つの品に何やら魔法をかけた
すると勝手に動きだし、本の内容を書き写す


『へぇ…便利な魔法ね』
「最近覚えた。大事な所だけ残せるから
結構、便利だぜ?この魔法。今度教えてやるよ」
『それはどうもありがとう』


これならすぐにセブにも貸せそうね


「それで本題に移りたいんだけどいいかい?」
『えぇ、いいわよ』
「あぁ」
「昨日、エリーにかけられた呪文だけど
もう少し練習が必要になりそうだ
呪文をかけられたのは夕食前だったのに
起きたら1時間目ギリギリだと、完全に
リーマスは授業に間に合わないだろ?」
『そうね…夜遅くにかけるんでしょ?
単純に考えても一時間目は間に合わないわ』
「無理やり起こすことも無理だって判明したしな」
『もう少し練習してみるわ』
「そうしてくれ、エリー。」
「呪文が完成したとして、どうやってかけに行くんだ?」
「透明マントを使うしかないさ」
『私一人で行くわ』
「それはダメだ」
『どうして?いいじゃない』
「透明マントは僕のだ、僕の意見を聞いてもらう」
『ポッターと……マントに入るの?』
「それしか方法はないだろ」
『……』
「露骨に嫌そうな顔をするなよ(笑)」
「将来のお兄さんになるかもしれないんだよ!?」
『本当に黙って、ポッター』
「わ、分かったから杖を向けないでくれるかい?」
「とにかく決定だな。また後日ジェームズに
呪文をかけて完成度を確認しよう。話はそれからだ」
『えぇ、そうね。そうしましょう』
「また僕…?」
『「文句でも?」』
「…ありません……」
『じゃあ寮に戻るわ』
「エリー」
『わっ、何…?』
「本。手ぶらだとエバンズに怪しまれるだろ?」
『あぁ、忘れてたわ(笑)ありがとう』
「あぁ」
『じゃあね、お休み。シリウス、ポッター』


二人の元を去る
後ろからポッターがシリウスに
エリーに微笑まれてずるい!
なんて声が聞こえて来たけど無視をした
くすりと笑ってしまったのは内緒だ





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