最近、シリウスとポッターが何やらこそこそしている
はじめて図書室で二人がこそこそしているのを見たのは
ホグワーツに戻ってきて二ヶ月後のある日
あれから一ヶ月に1、2回ペースでいる
決まって同じ場所に二人で難しい顔をしている


ホグワーツに戻ってきて四ヶ月後
二人は私がすぐ後ろにいるのに気付かずに
こそこそと話をはじめた


「やっぱりアニメーガスしかないかな…」
「あぁ。調べてみたけど、人狼に対策はねぇな」
「これはピーターには言えないね」
「本人が自分で言うだろ」
『ねぇ、リーマスの話?』
「「!?」」
「エリー!?いつから!?」
『いつからって…ずっと後ろにいたけど…』
「話聞いてた…?」
『うん、聞こえた』
「…エリー内緒にしててくれない?
 もちろん、リリーにも」
『うん、それは分かってる。それに私知ってたから。
 リーマスが人狼だってこと……』
「知ってた?」
「本当かい?エリー」
『二人には話したことなかったけど…
 私、未来予知の力があるの。夢見の力よ。
 聞いたことくらいあるでしょ?』
「凄いじゃないか!エリー!」
「確かにすごいな…稀にいないだろ?」
「インチキな占い師はいるけどね(笑)」
『でも私は見る未来は選べないから…
 それからポッター、名前で呼ばないで』
「ひどいなぁ、エリーは」
「なるほどな、それで人狼のことを知ってた訳だ」
『そうよ。夏休みの間に色々調べて
 リーマスにとって良い方法を考えたんだけど…』
「ぜひ聞かせてもらうよ」
『あら、ポッターに教えるとは言ってないわ』
「いいから早く教えろよ、エリー」
『それが教えて貰う態度なの?』
「すいませんでした」
『ふふっ、冗談よ。まず一つ目は二人も
 話していたようにアニメーガスになること。
 それが成功するまでは眠り薬か魔法で
 眠ってて貰うのが一番良いと思うんだけど…』
「魔法薬は俺パス」
「僕も強力なのは…」
『セブに頼んでもいいけど、さすがに毎月は
 怪しまれてしまうからだめよね…?』
「「スニベルスには絶対頼まない」」
『言うと思ったわよ』


肩をすくめて二人を見る
シリウスは少し罰の悪そうな顔をして目を逸らした


「となると、今は呪文で眠らせるくらいしか
 リーマスが傷つかない方法はないのか?」
『えぇ、私が調べた範囲ではだけど』
「んー……』


何やら考え込むポッター
いつもはおちゃらけていて、傲慢で
わがままで不真面目なポッターだけど
実はとても頭が良い、なんていうか…
考えるべきポイントを押さえてる?
きっと何か良い案を出してくれるだろう


「エリー、君は夏休みの間中
 ずっと人狼について調べてたのかい?」
『えぇ、そうよ。アニメーガスは自分の
 趣味のためでもあるけど…それがなに?』
「ということはだ、ずっとリーマスのことを
 考えていたってことに…いたっ!シリウス!
 なんで叩くんだいっ!?」
「くだらないこと言ってないで早く言え」
「やれやれ…」
『なんなの?』
「エリー、君、もうその強力な眠りの呪文
 とやらは使えるようになったのかい?」
『……まだ人体実験が済んでないわ。
 カエル・ヘビ・ユニコーンにはちゃんと
 効いたから大丈夫だとは思うけど…』


そう、実はリリーの目を盗んでこっそり
禁じられた森の目の前まで行き、近付いてきた
動物に呪文をかけて試していた
眠らせるだけだから、セーフでしょ?
でもこの魔法、本当に加減が難しくて…
初めてかけた時は一ヶ月、カエルが
目を覚まさなくて焦ったのよ…(苦笑)
対、人となると…どうしても躊躇しちゃう


「こいつでいいだろ」
「え!?なんでさ!?」
「リーマスのためだ」
「シリウスでもいいだろ?」
「いや、俺はパス」
「シーリーウースー…!」
『ポッターにだったら遠慮なくかけれるわ』
「ウィンクしたエリー可愛い!
 リリーだったらもっと可愛いんだろうなぁ!!
 でも一ヶ月も眠るのは嫌だよ、エリー!」
「さっさとかけちまえ」


ボソッとシリウスが耳元で囁く


『責任取ってよね』
「あぁ」


ニヤリと笑った返事とともに、
私はポッターに向かって眠りの呪文を唱えた





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