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ニーガンに指名されたのはエイブラハムだった。
彼が死んでしまう。
それを頭が理解した瞬間に、ますます涙が溢れる。
そしてエイブラハムは自分が死ぬと分かった今、
右手でサシャに向けてピースサインを送っている。
あのピースは良くエイブラハムがしていたサイン…
そしてルシールがエイブラハムの頭に振り下ろされた。
「おぉ、やるじゃないか!根性がある!」
「しゃぶれ…俺の……タマを…」
意識が朦朧としながらも、泣きもせず弱い所も見せない。
そんな彼に何度も何度も容赦なくルシールが振り下ろされる。
「聞いたか?"俺のタマをしゃぶれ"とさ!」
ニーガンは笑うと、またルシールを振り下ろした。
もう彼の頭は原型を留めていないのに何度も、何度も…
エイブラハムの真横に座っていた私に彼の血が飛ぶ。
もう顔を流れる物が涙なのか彼の血なのか分からない。
今すぐエイブラハムに縋りついて泣きだしたかった。
「まったく最高だぜ!これを見ろ!はははっ。
俺の可愛い子がびしょ濡れだ!なぁ、見ろよ。
まいったな?奴とそういう仲か?それは最悪だな。
だが分かるだろ?なぜこうなったか。
赤毛はいつにも増して真っ赤になった!
お前らのために犠牲になったんだ!
分かったなら、よく見やがれ。見るんだ!」
ニーガンがロジータにルシールを近づけた瞬間、
ダリルがニーガンに殴りかかった。
すぐさま男達がダリルに掴みかかる
『…っ!』
「ダメだ。ダメなんだよ!
今のは、まったく…今のは全然ダメだ。
その態度はここじゃ通用しないんだよ!」
「やるか?今すぐ」
「いいや。殺しは早い。役目を果たせ」
ニーガンの指示でダリルは列に戻される。
「とにかくルールを守れ。さっきも言ったろ?
"最初だけは許す。次はぶっ潰す"と言った。
例外なくな。どんなウソつきと出会った来たか知らんが…
俺は約束は守る。第一印象が大事だ。俺を知ってもらいたいからな」
ニーガンは不敵に笑うとルシールを振り上げた。
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