16


ダリルがキャロルに付き添ってから数日が過ぎた。
私はグレンやマギーと畑仕事をしたり
カールとジュディスの子守りをしたり
イーニッドと教会の上でお絵かきしたり…

ダリルとキャロルは夜もポーチで過ごしているらしい。
夜遅くまで2人で話しているのをロジータが見ていた。
ちゃんと寝ているんだろうか……
キャロルはたばこまで吸い始めて少し変わってしまった。
純粋に心配な気持ちと、ダリルに側にいて欲しい気持ち…
両方が合わさって最近はなんだかモヤモヤしてしまう。
キャロルのことも大事な家族なのに
こんな気持ちになる自分が嫌になる……

目の前で走り回るグレンとカールを見つめながら
家のポーチの前の階段に座ってそんなことを考えていた。


「エリー」
『ダリル!どうしたの?キャロルはいいの?』
「あぁ。トビンが2人で話しをしたいらしい」
『トビン…?あぁ、あの背の高いおじさまね』
「キャロルも少しは良くなってきたみてぇだ」
『本当?良かった…たばこは相変わらず…?』
「あぁ。精神を安定させるためだろうな。」
『そっか…じゃあ無理に止められないね…』


ダリルは頷くと私の隣に座って前を見つめた。
私はそんなダリルを見た後、そっと彼によりかかった。
彼に腕を組んで寄りかかっていると、ダリルの体温が
私に伝わって来てなんだかとても安心できた。
そのまま目を閉じてしばらくぼーっとしていた。


「部屋行くぞ」
『え?』


突然、ダリルの声がしたかと思ったら
ダリルが私を担ぎあげて動き出していた。
所謂、お姫様だっこというやつである。


『ダリル?なに?どうしたの?』
「うるせぇ。黙って掴まってろ」
『え、う、うん……』


部屋まで連れて来られるとベッドに降ろされる。
ダリルは上着のベストを脱ぐと椅子の背もたれにかけて
そのまま私を押し倒した。


『ダリル…?あのぉ…まだお昼なんだけど…?』
「前にも言っただろ?昼とか関係ねぇ」


そう言うと少し乱暴に唇を重ねた。
息を吸う暇さえ与えないダリルの野性的なキス。
苦しくなって私はダリルの身体を叩いた。


『はぁっ……』
「わりぃ……」
『いいけどさ』


ダリルは私の顔を見つめると、頬に手を添えた。


「傷…まだいてぇか?」
『ううん、もうそんなに痛くないよ』
「守ってやれなくて悪かったな……
 兄貴が一緒とはいえ怖かっただろ…?」
『怖かったけど…マギー達に比べると―』
「比べなくていい。エリーが無事で良かった。
 俺はもう、お前無しじゃ生きていけねぇ…」


ダリルは私をぎゅっと抱きしめた。


『私もダリルがいないと生きていけないよ』


頬にキスをすると今度はとても優しいキスをくれた。



※次ページは裏の表現が含まれます。
苦手な方は飛ばして読み進めて下さい。



[ 181/216 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]