24

「エリー、お湯を貯めておいたからお風呂に入りなさい」
『うん、ありがとう。キャロル』
「ゆっくり温まってくるのよ」
『ダリル、行ってくるね』
「あぁ、ここで待ってる」


温かいお湯に浸かると、自然とため息が出る。
頭が痛いと思ったら薬を持って来ただけで
まだ飲んでなかったんだ…
後で忘れずにちゃんと飲まなきゃ…

上を見上げてそっと目を閉じる。
なんだか疲れちゃったな…
いつまで頑張り続ければいいんだろう…

頭の中をぐるぐると色んな想いが駆け巡る。
しばらくそうやって想いを馳せていたけど、
頭がぼーっとして来たので頭と身体を洗うと
浴槽も洗って、リビングに戻った。


『お風呂ありがとう、キャロル』
「どういたしまして」
『温かいお湯に浸かってたらちょっとスッキリした』
「そう?それなら良かったわ。ダリルも入ったら?」
「俺はいい、明日にする」
「そう、分かったわ」
『おやすみキャロル』
「えぇ、2人ともおやすみ」


ダリルと寝室に向かう。
ベッドに座ったダリルの上に横向きに座り、
その逞しい胸元に身体を預けた。


『……キャロルから聞いた?』
「あぁ…」
『また仲間を失った…それも目の前で…』


ダリルは私の頭を自分に引き寄せた。
自然とダリルの首元に顔を埋める。
目を閉じると蘇るノアとの思い出…
そして最期の姿。


『ノアの手を掴んでたのに…離すなって、言われたのに…』
「離したくて離した訳じゃない…ノアもそれは分かってる」
『そうだけど…救えたはずなのに……』
「エリー…自分を責めるな…」


ダリルはぎゅっと抱きしめてくれた。
私はダリルの服を握りしめて泣いた…



『ごめんね、服…濡れちゃった』
「気にすんな。もう平気か?」
『うん、泣きすぎて頭痛いや』
「水持ってくる。薬飲め」
『ありがとう』


ダリルが一階に水を取りに行くのをぼーっと眺めた。
はぁ…結局いつまでも弱いままだ……
私はもっと強くならなきゃいけないのに…


「ほら、飲め」
『うん』


ダリルから水を受け取り、薬を飲んだ。


『ダリル、いつもありがとう』
「あぁ…エリーが無事でよかった」
『うん、ダリルの方は?なんともなかった?』


私はそれからダリルの冒険話を聞いた。
ダリルの方も色々あった様で彼が無事に帰って来れて
本当に良かったと心の底から安心した。


『明日、モーガンにお礼言わなきゃだね』
「あぁ。命の恩人だ…」


そう言ったダリルを見つめると私の頬に手を添え
そっと優しいキスを1つ、私の口に落とした。


「頭痛は平気か?」
『うん、薬が効いてきたみたい』
「…(頷く)寝るぞ」


ダリルに抱きしめられて布団にもぐる。
彼の体温が私を安心させてくれる。


『明日は何をするの?』
「朝はレジとピートの墓を作る。
 それからアーロンの所でバイクいじりだ」
『忙しい1日になりそうだね』
「あぁ、お前は?」
『んー…分かんない。特に決まってない』
「そうか。じゃあ壁の中にいろ」
『うん、そうする』


ダリルの言葉を聞きながら私は眠りに落ちて行った。



→Season6へ

[ 165/216 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]