数日後、私は森で木の実を集めていた。
シェーンやローリ、カールはすぐにみんなと打ち解け
特にシェーンは元保安官だからかリーダーシップを発揮し
みんなのリーダーの様に活躍してくれている。
彼のおかげでみんなもどこか安心してるみたい。


今日は少し奥まで行ってみよう!
そう思って奥に進んでいると、
何やら近くで男の人達の話す声が聞こえた。
近寄ってみると体格の良い男が2人
コソコソとキャンプの方を見て話している
1人は銃を持って、1人は見た人の無い武器だ。
弓矢の様な、アーチェリーの様な…
でもちょっと違う不思議な武器を構えている


『……何してるの?』


私が声をかけると2人とも武器をこちらに向けてきた。
驚いたが、木の実を抱えている為、動けない。


「お嬢ちゃんこそ何してる?」
『……見て分からない?木の実を集めてるの』
「1人でか?」
『2人に見えるの?』
「はははっ、こりゃいい」


銃を構えていた男性は両手を広げて笑った。
隣に入る男性はそんな彼をチラッと見ている


『それで?ここで何してるの?』
「キャンプを見てたんだ。安全かどうか」
『安全よ。保安官がいるし、みんな良い人達よ』
「保安官か……それは安心だな…?」
『キャンプの仲間に入りたいの?』


私がそう聞くと男性は肩をすくめるだけだった。
もう1人の男性も武器を降ろさない


『名前は?なんて言うの?』
「メルルだ。こいつは弟のダリル」
『そう。私はエリー。よろしくね
 ところで…そろそろ武器を降ろしてくれない?』


私がそう言うとメルルはダリルに武器を降ろさせた。
ダリルは私を睨み殺すかの様な勢いで睨みつけてくる。
うーん……シェーンがいるとはいえ危険だろうか…?


「エリー?どうし―」


私を探しに来たグレンが2人に気付き
慌てて私を背中に隠して、警戒した態度を取る


「だ、誰だ!?」
「おいおいおい、俺達は話してただけだぜ?」
「エリー、シェーンとTドッグを呼んで来い」
『うん、分かった……』


グレンに言われ2人を呼びに行く。
シェーン、Tドッグ、そしてデールも森の中へ

しばらく4人は帰って来なかったが、
戻って来た時には後ろにメルルとダリルも連れていた。
可愛い名前には似合わない体格の良い男2人が
新たに仲間に加わったとデールから紹介をされた。

メルルは軍隊経験もあり、武器の扱いに長けていて
2人ともサバイバル経験があり狩りも出来る。
かなり心強い味方が出来たと言える。
Tドッグ、シェーン、エド、メルルにダリル。
こんな屈強な男たちがいるキャンプを
誰も襲おうとは考えないだろう……

まぁ…実際のTドッグが屈強かどうかは置いておこう。


今日も一日、それぞれが仕事をして
全員で夕飯を食べて眠りにつく。

見張りは弟のダリルが担当してくれるそうだ。
今も火の側に座って、物音がすると敏感に反応している
さすがサバイバル経験者は違うなぁ……


「エリー?」
『ダリルの持ってる武器って何か知ってる?』
「いや、知らないよ」
『見た事もないよね。気になる……』
「……聞きに行くのか?」
『……うん、すぐ戻る』
「ここで待ってる」


グレンが夕飯を食べた場所に座り直し、
私はテントの近くに入るダリルに近付いた


「何の用だ?」
『それ、なんていう武器?』
「は?」
『あなたが持ってる武器。なんていうの?』
「……クロスボウだ」
『かっこいいね。扱うのは難しい?』
「…慣れれば難しい事はない」
『ふーん……』


質問すると律義に答えてくれるダリル。
なんだか意外…"あっちに行け"と言われるかと思った…


「もういいだろ?ガキは寝ろ」
『教えてくれてありがとう。見張りよろしくね』


そう言うとダリルは何も答えなかったが
私は特に気にせずグレンの元へ戻った。
そしていつも通り、眠りについた。






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