12

『あぁ、楽しい時間ってどうして
 あっという間に過ぎていってしまうのかしら?』
「エリー、何を嘆いているの?
 まだ学期末テストまで1ヵ月もあるじゃない」


そう、私たちがホグワーツに来て楽しかった一年が
もうすぐ終わってしまう、あと一ヶ月で…!
今年はとっっても楽しかったわ…
新しい友人、新しい魔法、新しい生活
何もかもが新鮮で、ワクワクしっぱなし!
結構平和な一年が過ごせたと思うの!!

でもそれもあと一ヶ月…
まぁ、夏休みが終わればまた戻って来れる。
来れるのだけれど…その間、図書室から本は
持って行けないし、魔法の本もないし…
どうしても勉強したいのにどうすれば…

そんなときだった。
シリウスから素敵なお誘いを受けるのは。


「お前、そんなに勉強したいのかよ」
『えぇ、そうよ。勉強することはいいことだわ』
「そうだけど…変わってるな」
『私は今まで魔法とは無縁の環境にいたのよ?
 こんなの…ワクワクしない以外に何があるの?』
「それもそうか…エリーがいいんだったら
 俺の家の本を貸してやってもいいぜ。」
『本当にっ?!』
「ただし、条件がある」
『………何よ』
「俺を家から遠ざけてくれ。学校の友人に本を
 持っていって、そのままその日泊まるくらいなら
 両親も見逃してくれるはずだ。な!?頼む!」
『泊まるっ!?それは無理よ、シリウス
 リリーが絶対に嫌がるし、両親だって…』
「あぁ、エリーの家には泊まらない。
 俺は本を届けたらそのままジェームズの家に行って
 一日だけ泊めてもらうことにする。
 お前には名前だけ貸してもらえればいい…
 エリーとエバンズ、それから他の奴らも一緒に
 泊まることになったって言えばババァも納得するだろ」
『そんなに家が嫌いなの…?』
「あぁ、一秒たりとも長くいたくないね」
『分かったわ、名前くらいならいくらいでも』
「悪いな、エリー。で?どんな本がいいんだ?」
『そうね。呪文や呪い、それから変身術がいいわ。
 アニメーガスの本があればより一層、素敵ね』
「アニメーガス?エリー…なるつもりか?無理だろ」
『なるかならないかは、私が決めるわ。
 とにかく情報が欲しいの。倫理が書いてある本が
 禁書の棚にしかないの、私には手に入らないわ』
「分かった…探すだけ探しといてやる、けど…
 期待はすんなよ。あるとはかぎらないからな」
『えぇ、大丈夫よ。本が読めるだけで大満足よ』


シリウスには夏休みが始まって二週間後の土曜日
持ってきてもらう約束をした
シリウスにも色々と予定があるようだ…
おぼっちゃまって大変なのね?


とにかく夏休みの間の本は確保したわね…
後は少しくらい自分で買おうかしら?


そう考えながらパンフレットを取り出した


「何か買うの?エリー」
『えぇ、本を』
「あら、だったらセブと買いに行けばいいわ」
『あぁっ、なんてこと!セブを忘れてた!』
「エリーったら…」
『そうだった。わざわざシリウスに頼まなくても』
「ブラックが、なんですって?」


リリーに恐る恐る先程の話をした


「そう。まぁいいわ。学ぶことはいいことだし」
『でも他にも読みたいものがあるからセブとも行くわ』
「エリー、あなた本当に本が好きね。私もびっくりだわ」
『リリーも勉強しているじゃない。それと変わらないわ』
「私とは時間が全然違うわよ。比べ物にならないわ」
『瞬間記憶能力のおかげよ、リリー』


それから一ヶ月、リリーと一緒にテストの勉強と
実技の練習をした。私は魔法薬学を繰り返しやり、
なんとか普通の薬が完成するレベルまでになった。

本当にリリーの才能には驚かされるわ
いつでも魔法薬学は一番を取っちゃうんだもの
双子なのにどうしてこうも違うのかしら…?(笑)





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