目が覚めるとダリルのたくましい体が目に入る。
お互い裸のまま寝ちゃったんだ…
風邪をひくような季節じゃなくて良かった。


『ダリル……愛してる…』


ダリルの首元にキスをした。


「朝から誘ってるのか?」
『…起きてたの?』
「さっき起きた」
『おはよう』
「2回戦開始だな」
『えっ…?』


朝からダリルは元気だ……
ダリルの欲望のまま、私達はお互いを求め合った。



『……また寝てた…』


もうお日様は真上まで昇っている。
物資調達に出たのに何をしてるんだか…
ダリルを見ると綺麗な顔をして寝ている。
私はそっとベッドを抜け出して昼食の用意を始めた。


「エリー」
『おはよう、ダリル』


起きてきたダリルにキスをする。


『ご飯食べるでしょ?』
「あぁ…食べたら物資を運ぶ方法を考えよう…」
『そうだね』


2人で昼食を食べて、外へ出た。
今日もいい天気だ。


「全部運ぶにはもう1台車がいるな…」
『ここにはないから捜しに行くしかないわ』
「捜しに行ってどうする?」
『私が運転するのよ』
「……」
『何よ!日本で免許持ってたのよ?大丈夫よ!』
「一度戻ってまた来た方が…」
『大丈夫!車を捜しに行きましょう!』


ダリルは信用して無い顔をしているけど、
コテージに鍵をかけて"行くぞ"と言った。

森を抜けて道に出るとすぐワゴン車を見つけた。
鍵はないが、ダリルがいじってエンジンをかけた
そのまま乗ろうとした時、突然発砲された。

車の影に隠れて周りを見回す。
どこにいるのか全く分からない…


「だれだ!?」
「荷物を置いて立ち去れ!」


ダリルの問いかけに男の声がする。
左方向にいるようだ。
ダリルはここにいろと合図して声のする方へ。


『撃たないと約束する!?』
「お前たちの態度次第だ!」
『撃たないと約束してくれないと
 怖くて車の影から出られない!』


私が声をかけ続けて注意を反らす。
何度かやり取りを続けた後、相手から返事が無くなった。


「車に乗れ。行くぞ…」
『うん…』


ダリルの運転でコテージまで戻ると
プレハブを開けて物資をワゴン車に積み込む。
コテージで見つけた荷物も出来るだけワゴン車に
詰め込んで、残りは乗って来た車に積んだ。


「ワゴン車は俺が。あっちはエリーだ」
『おーけー。任せて』
「道は分かるか?」
『分かるよ。まだ遠くまで来てないもん』
「よし、行こう」


ダリルは私にキスをすると車に乗り込んだ。
私も車に乗り込み、コテージを後にした。


道中は何事もなく帰れるか不安だったけど
ウォーカーの群れにも人間にも会うことなく
無事に刑務所に辿り着いた。


『どう?ちゃんと運転出来たでしょ?』
「あぁ。ちょっと危ない所はあったが…よくやった」
「おかえり、エリー。予定より早かったのね」
『うん、近くに穴場を発見したの。
 物資も集まったしとりあえず戻って来た』
「その車はどうした?」
「もらってきた」


グレンとマギーのお出迎えだ。
豚の世話をしていたリックとカールも近付いてくる。


「リックと話してくる。グレン」
「あぁ、分かった」


ダリルはグレンに車を頼むと
リックの方へと歩いて行った。


「エリー、おかえり」
『ただいま、カール。良いお土産があるわ』
「本当?」
『えぇ。先に運ぶの手伝ってくれる?』
「もちろん」
「私も手伝おうか?」
『助かるわ、ミショーン。
 そうだ。今回の物資には歯磨き粉があるわよ』
「…本当?最高!」


ミショーンはウキウキと荷物を運び始めた。
なぜか彼女は歯磨き粉に執着が強いのだ。

物資を全て運び終えるとカールを呼んだ


『見て、これは日本で作られたものなの』
「なに?ボール?」
『ダリルも同じことを言ったわ』
「違うの?じゃあこれなんなの?」
『ここのレバーを回すと充電が出来るの。
 そして…ちょっと寝転がって天井を見ていて』
「うん…」


カールが寝転がったのを確認すると
プラネタリウムのスイッチを付ける。


「わぁ…綺麗…」
『これが日本から見える夜空よ』
「凄くいいよ…気に入った…」


そう言うとカールはずっと星空を眺めていた。


「何やってるんだ?」
「パパ、見て!エリーのお土産だよ!」
「プラネタリウムか…」
「一緒に見よう!」
「あぁ」


親子2人で寝転んでいる。
私はそっと部屋を出た


夕食の時間までそっとしておいてあげよう…


『あれ?ダリルはどこに?』
「鹿を見つけたから捕って来るって出て行ったわ」
『戻って来たばかりなのに良く働くわね』
「元気が有り余ってるんじゃない?」
『そうかも』


マギーと話をしながら洗濯物を取り込んだ。
子供たちもやって来てみんなで洗濯物を畳んでいると
なんだか前の世界に戻ったみたいだ。
あのうめき声さえ聞こえなければ……


『フェンスにいるウォーカーも増えてきたわね』
「そうね。また減らさないと…」
『フェンスの補強もね』


そんな話をしながら中へ戻る。
マギーと一緒に新しく手に入れた服を見ながら
楽しくお喋りしていると鹿を捕まえたダリルが戻って来た。


「本当に捕まえてきちゃった」
『有言実行ね』


ダリルとグレンで捌いて
キャロルが夕飯に調理してくれるらしい。

その間、私は図書室で静かに本を読んでいた。



「エリー」
『ダリル、どうしたの?』
「夕飯が出来た。食べに来い」
『もうそんな時間?ありがとう』
「あぁ」


本を置いて図書室を後にした。


「何を読んでたんだ?」
『ファンタジーよ。魔法の世界の話
 ダリルも読んでみる?』
「いや、いい」
『たまには読書すればいいのに』
「好きじゃない」
『漫画は?好き?』
「あぁ。絵があれば読むかもな」
『じゃあ今度は漫画を見つけないとね』


その後はみんなで楽しく夕飯を食べて
ダリルと一緒に眠りについた。

ちょっとハプニングはあったけど
とても幸せな毎日を過ごせてとっても嬉しい……


次の日、ダリルは以前から目を付けていたという
物資調達の場所へひとりで下見に行ってしまった。
なんだか疲れた私はダリルが帰って来る頃には
もう眠ってしまっていて気が付かなかった。






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