16

『ん……ダリル…?』
「あぁ、おはよう」
『おはよう…』


朝、目が覚めると、ダリルが私を見ていた。


『何してるの?』
「別に。ただエリーを見てるだけだ」
『……変なの…』


ダリルが少し笑った様な気がした。


「まだ信じられねぇ…兄貴が死んだなんて…
 ウォーカーになった兄貴をこの目で見たのに」
『あなたはやるべきことはしたわ』
「あぁ…兄貴が他人の為に死ぬなんてな」
『それは違うわ。あなたのためよ。ダリル。
 グレンが言ってた。総督との話し合いに行った時
 メルルはずっとあなたの心配をしてたって』
「そうか……」


ダリルは下を向いてしまった。


『朝食を食べよう。
 きっと今日にでも総督が攻めてくるよ』
「そうだな。戦いが始まるな…」
『えぇ…』


ダリルと朝食を食べに出るとみんなが揃っていた。


『おはよう』
「おはよう。さぁ、ここに座って!」
『どうしたの?マギー。朝からご機嫌ね』
「今から皆に報告するの…!」


マギーは嬉しそうにそう言うと
左手の薬指にはまっているリングを私に見せた。
そして私とダリルに朝食を渡すとグレンと並んだ


「みんな、少し聞いて欲しい事があるんだ」


グレンの声にみんなが2人に注目する。


「実は…マギーと結婚することにした。
 みんなにも知っておいてもらいたくて…」
「まぁ!おめでとう!」
「ありがとう、キャロル!」


みんなからお祝いの言葉をかけられる2人は幸せそう。
ダリルも2人にお祝いの言葉をかけていて
表情も柔らかくなった。

幸せな気持ちにさせてくれた2人に感謝だ…


「グレン、マギー。結婚本当におめでとう。
 大切な家族が幸せになる事は何より嬉しいよ
 さぁ、気持ちを切り替えて戦闘に備えよう」


リックの一言で全員が準備に入る。
私は監視塔の上から狙撃をする役割だ。
銃や弾、水を運ぶ。
いつ襲われてもいい様に準備は出来た。


カールやベス、ハーシェルの乗った車が
無事に刑務所から出て行くのを見守る。



しばらくして大きな車の音が聞こえる。
私は監視塔の中に隠れ、見えない様にしていた

そして銃声とアラーム音が鳴り響く。
ここからが私の仕事だ…


監視塔の中から出て、銃を構える。
建物から逃げ出てきた人達を撃つ為に…



こうして私達の作戦は見事成功した。
だれひとり欠けることなく…


「やったわ!」
「あぁ、やった!」
「追い返した!」
「マギー!降りて来い!」


私も荷物を持って急いで下へと降りて行く。
監視塔を出るとダリルがいた。


『ダリル…!』


ダリルに抱きつく。
しっかりと受け止めてくれて、熱いキスを何度もくれた。


「行こう」
『うん』
「ダリル!エリー!ついでにゲートを!」
『おーけー!』


みんなの元へ戻る途中で、マギーに頼まれ
ハーシェル達が帰って来るのを待って中に入れた。


「今すぐ追いかけよう」
「総督を殺しておかないと、また襲撃される」
「でも危険だわ」


逃げ出した総督への対処をみんなで話し合う。
結局、全員では追わず数人で追うことになった。


「俺とダリル、ミショーンは決定だ」
「3人だけか?」
「俺は残るよ。総督が戻って来た時に備える」
「エリーも残れ」
『私?』
「あぁ。みんなを守れ」
『………分かった』


ダリルに言われ、頷く。
3人が出て行くのを見送ると再び監視塔に登った。


「エリー、昼食よ」
『ありがとう、キャロル』
「異常はあった?」
『いいえ。ウォーカーも少ないし
 人間の姿はひとりも見てないわね…
 もしかしたら今日は戻って来ないかも』
「だったらいいんだけど…」


キャロルが持ってきてくれた昼食を食べながら答える。
私が食べている間はキャロルが見張りをしてくれた。


「まだここにいる?」
『えぇ。3人が戻るまでは警戒を怠れないわ』
「そうね…ありがとう」


キャロルは食べ終わった食器を持って降りて行った。


それからしばらくしてダリルのバイクが見えた。
急いで下へ降りて近くにいたカールを呼びゲートを開ける。
カールはみんなを呼びに行ってくれた。


私の記憶が正しければ、確かダリルのバイクと
1台の車で行ったと思うんだけど…
……後ろの車はなに?


『ダリル。後ろは?』
「入れてやれ」
『おーけー』


最後の車が中に入るのを確認してゲートを閉じた。
ゲートの開け閉めってゲートも重いし
向こうに戻る道が遠くてしんどいのよね…
遠くに行った車を見つめてため息が出る。


「だれ?」
「新しい仲間だ」


カールとリックの会話を聞きながら
ダリルの側に並んで立った。


『行った時より人数が多いと思うんだけど?』
「大方正解だな」
『100%正解よ』
「リックが決めた事だ。文句はリックに」
『文句なんてないわ。彼ならそうするでしょうね
 まぁ、でも…これからは物資調達が大変ね』
「なんとかなる」
『そうね。全員一緒なら乗り越えられるわ』


そっとダリルの手を握った。




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