「やっ、やめてよ…!」
「口答えするなよ、弱虫」
「お前それでもグリフィンドールか?」


グリフィンドールですって?
助けなくちゃ…杖も持ってる…
撃退の呪文も覚えてるし…よし!


『あなた達!やめなさい!』
「「ちっ、グリフィンドール…」」
「うぅ…」
「でも女一人だぜ?」
「やっちまうか」
『あら、私を甘く見ない方がいいわよ』
「スリザリンをなめるなよ」
『インカーセラス!』
「うわっ!てめっ…卑怯だぞ!」
「そうだぞ!グリフィンドールのくせに!」
『卑怯?二人で一人をいじめるのは卑怯じゃないの?』
「「くっ…」」
『さっ、行きましょう』
「…あ、ありがとう…」


私は男の子と一緒にその場を立ち去った
スリザリンの奴らは足を縛られて
しばらくは動けないはずだ、いい気味


「また…助けてもらったね…」
『え?私、あなたとは初対面だけど…』
「あっ…そういえば双子…だもんね…?」
『えぇ、そうよ。リリーに助けてもらったの?』
「うん…こないだ…最近はシリウス達といるから
 虐められることも減ったんだけど…ね…」
『もっとしっかりするべきよ、えーっと
 あなたはなんて言う名前なの?』
「ピーター。ピーター・ペティグリュー」
『私は彼に聞いたんだけど、シリウス』
「いいじゃねぇか、別に」
『まぁ、いいわ。ペティグリュー、気を付けてね』
「う、うん…ありがとう…」
「また虐められてたのか?」
『そうよ、シリウス。あなた呪文の一つでも
 ペティグリューに教えてあげたらどうなの?』
「こいつセンスないんだよ」
『練習あるのみ!よ!』
「分かったよ、簡単なやつな…」
『そういえば明日は飛行訓練よ!
 二人とも怪我しないようにね?』
「あぁ、エリーもな」
「ありがとうエバンズ…本当に…」
『いいのよ、ペティグリュー
 じゃあまたね?シリウス』


私はシリウスとペティグリューと
別れて図書室へ急いだ

少しでも飛行訓練の本を読まなきゃ!


その日はいつもの何倍も早く寝た
次の日の飛行訓練は寝不足じゃ
受けれないもの!あぁ、楽しみだわ!
その日の夢は楽しく空を飛ぶ夢だった



そして飛行訓練当日


『リリー、もっと食べなきゃ!』
「これ以上食べたら吐くわ!」
「僕が受け止めてあげるよ、リリー!」
『ポッター…気持ち悪いっ…!!』
「お断りよ!ポッター!!」
『リリー。いつもより食べる量が少ないわ
 ちゃんと食べておかないと、飛行訓練の
 授業の時間にはお腹がぺこぺこになるわよ?』
「…今日はいいわ、本当に。
 チョコレートを持って行くから…」
『珍しいわね、食欲がないなんて』
「エリーは平気なの?」
『えぇ、私はもう空を飛ぶ夢を見たから』
「ずるいわ!私は飛んでなかった?」
『う〜ん…隣にいたような、いなかったような…』
「どっちなのよ!」
『いたと思う!』
「はぁ…いいわ、行きましょう」


初めての飛行訓練は運の悪いことに
スリザリン生と合同練習だった
いや〜な予感しかしないよね…


「エリー、どうしたの?」
『ううん、ちょっと嫌な予感がして…』
「そう?大丈夫?」
『大丈夫よ^^ 』


飛行訓練までの授業はみんなわくわく
そわそわしていて、集中出来ておらず
何人もの鍋がぶくぶくと爆発していった


そして飛行訓練の時間……
先生の指示に合わせてみんなが動く
セブはスリザリンの端っこの方にいる
グリフィンドール側じゃなくてよかった
ちょっとホッとした


「それでは、箒の上に手を置いて
 こう言うのです"あがれ"さぁやって」
『あがれっ!』
「エリー凄いわ!一発ね」
『まぐれよ、ふふ』
「あがれっ」
『ポッターも一発のようよ?』
「……あがれ」
「あら、セブもだわ」
『さ、リリーも』
「…あがれっ、あがれっ…あがれったら」
『あがったわね』
「三回目でね…」
「あぁ、気にしてるとこ悪いんだけど
 シリウスとピーターはまだやってるよ」
『「本当に?」』
「あぁ、ピーターはいつも通りだとして…
 シリウスは箒とは相性が悪いようだね」
『意外ね、シリウスが箒と相性悪いって』
「ブラックでも苦手な物があるのね」
「あがれって言ってんだろ!燃やすぞ!」
『「「あ、あがった」」』
「はははっ!シリウスっ!
 僕…箒を脅した奴なんて初めて見たよ」
「わ、笑うなっ!ジェームズ!!!!」
「さぁ、箒の右側にたって」

『いよいよ、飛ぶのね?
 あぁ!なんてわくわくするの!』
「えぇ、そうね…」
『心配?リリー』
「エリーがいるから平気よ」


リリーと目を見合わせてから箒に並ぶ


「さぁ、またがって!1.2.3、飛んで」
「いやっほー!」
「ポッター!危険な行為はやめなさい!」
『リリー!飛べたわ!リリーも早く来て』
「え、えぇ…」


ふわっとリリーがやって来る


「飛べたわ!エリー!」
『リリーやったわね!どう?
 もう少し上に行かないっ?リリー』
「いいわ!いきましょう!」


その日はリリーと高い塔のてっぺんまで
飛んだり、セブのところへ行ったりして
楽しい飛行訓練の時間を過ごした

その時間だけはポッターからの
煩わしいリリーへの求愛もなく
本当に心から楽しんだ





[ 12/216 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]