夜も遅くなり、マギー達は全員、就寝した。
リックとローリは未だに目を覚まさないカールの元に。


『カールもソフィアも…あんなに小さい子達がどうして…』


グレンはそっと私を抱きしめてくれる。
Tドッグもあれからまだ眠り続けていた。
シャワールームに行ったシェーンも戻って来ない。


『シェーンは大丈夫かな…』
「どうだろう…」
「大丈夫だ」
『シェーン!?どうしたの?その頭…』


シェーンは頭を丸坊主にしていた。
驚きのあまり大きな声が出る


「俺なりのけじめだ。早く寝ろよ」


そう言って部屋を出るシェーン。


「俺達も今日は寝よう。明日になればみんなが来て
 ソフィアを捜しに行くだろう?寝ておかないと」
『うん…分かった……』


私はグレンと眠りについた。




次の日、リック、ローリ以外のみんなで
オーティスのお墓を作っていると
道路に残っていたみんながやってきた。
Tドッグが2人を呼びに行く。


「カールは?」
「峠は越えたわ。ハーシェルやみんなのおかげで」
「シェーンもだ。命の恩人だ…」


デールとリックがハグを交わす。
ローリとキャロル、Tドッグとアンドレアも。
私もダリルに駆け寄って抱きしめる。
ダリルも力一杯抱きしめてくれた。


「ケガはないか?」
『うん、ダリルは?』
「大丈夫だ…」
『良かった……』


眠っているカール以外の全員で
オーティスと最後のお別れをする。
私はオーティスに会った事はないけど…
カールとシェーンを救ってくれてありがとう…



オーティスとのお別れを済ませた私達は
ソフィアの探索計画へと行動を移した。
マギーに地図を貰い、どこを探すかの作戦会議だ。


「少女が消えてから?」
「今日で3日目だ」
「郡の測量図よ。地形が分かるわ」
『ありがとう、マギー』
「これで当たりが付けられる。」
「グループに分かれて捜索しよう」
「君はやめておけ。3回も輸血をしている。
 5分もあるいたら倒れてしまうぞ?
 それから君もだ。1ヶ月は休まないと動けなくなる」
「じゃあ俺が小川に引き返すとしよう」
『私もよ。……ダリル、ひとりでは行かせないわ』


一緒について行くと名乗り上げた瞬間、
ダリルは私を見て、眉をしかめる。


「俺も協力する」
「車で道路を探索するよ」
『ソフィアが道路に戻っているかも』
「あぁ、明日になったら始めよう」
「ナイフだけじゃ危ないな…」
「銃の訓練が必要だ」
「待て…農場に銃を持ちこまれたくない
 武装キャンプにするのはごめんだ」
「奴らがうろついているんだぞ?」
「シェーン。俺達は部外者だ。
 あなたの領地のルールを尊重したい」


リックはそう言うと銃を置いた。
シェーンもそれに続く。


「まずは野営をしてソフィアを捜そう」
「聞きたくないが…ソフィアが噛まれてたらどうする気だ?」
「しかるべき処理を……」
「母親にはなんて?」
「真実を話す」


それから私達は全員、銃を集められた
銃に慣れているデールが管理をするようだ


『クロスボウはいい?』
「銃じゃなければいい。」
『ありがとう、ハーシェル』


ダリルと私はクロスボウを持ってその場を離れる。


『ダリル、クロスボウの使い方を教えて』
「あぁ。後で森の中でやるか」
『うん!』


ダリルは私の頭を撫でるとテントを建てに行った。


「抗生物質や包帯がもっと必要じゃない?」
「もっともだわ」
「街で調達しなきゃ」
「避難所に?」
「いいえ、2キロ先の薬局よ。前に行ったの」
「……あの野球帽の男はグレンだ。
 彼は物資調達の名人だから頼んでみる」


そんな会話がされているとも知らず
私とグレンはテントを建てていた。


「エリー、ちゃんとそっち持って」
『持ってるわよ!グレンこそちゃんと引っ張って』
「引っ張ってるよ!(笑)」


そこへマギーがグレンの側へやって来る
グレンは不思議そうにマギーを見て、手を止めた


「物資調達が得意だとか?」
「………?」
「薬局に行く?」


グレンは心底、不思議そうな顔をしている。
なんて顔をしてるんだと笑いそうになる
するとデールがやって来てマギーに
水はどうしているかと尋ねた。
マギーがデールの質問に答えている間も
グレンは未だに変な顔のままだ。
私がふき出すと、その顔のままこちらを向くから
余計に笑いが止まらなくなった。


「なんだよ、エリー……」
『いえ?別に?ふふ…』
「馬を用意するわ」
「………馬?」


グレンと話しているとリックがダリルを呼ぶ声が聞こえる。
ダリル……私を置いて行こうとしたわね…?


『許さん……』
「エリー」
『なに?グレン』
「行くんだろ?気をつけて」
『グレンもね』


私は小走りでダリルの側へ行く


「……なんだよ」
『私も一緒にと言ったでしょ?』
「来なくていい」
『嫌。ダリルを1人で行かせられない』
「……好きにしろ」
『分かった!』


私はクロスボウ、矢、ナイフ、水を確認すると
急いでダリルの隣へと並んだ。


「いいか。絶対に離れるなよ」
『うん』


私とダリルはソフィアを捜しに森へ入った。





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