突然の事に体が固まる。
Tドッグが私を後ろに庇ってくれる。

するとダリルが私達に近付いている
ウォーカーの喉元を後ろから刺して、倒してくれた。


「エリー、そこの車の下に潜れ」
『わ、分かった…』
「良いと言うまで出てくるな、いいな?」
『うん…』


ダリルに言われた通り、車の下に潜る。
私が潜るのを確認したダリルはTドッグの上に
ウォーカーを置いて、自分も死体の下に潜った。


私達はじっとウォーカーが去るのを待つ
ウォーカーが近くを通る度に、
ダリルとTドッグの事が心配で仕方がない。
そんな私をしっかり見つめ、目で大丈夫だと言ってくれるダリル
私もダリルに頷き、じっとしている。

短い時間が何十分にも感じる…
どうか早く去って……


しばらくして足音がやんだ。
ダリルは自分の上から死体をどけて
Tドッグの上からもどけてタオルを渡した。
血がたくさん出ている…


『大丈夫…?Tドッグ…』
「あぁ……」
「移動させるぞ」
『うん、ありがとうダリル』


ダリルは頷くとTドッグに手を貸した。
みんなの元に戻ると、全員が森を見ていて
キャロルは泣いている。
そこにソフィアはいない……


『どうかしたの…?』
「ソフィアがウォーカーに追われて…」
『ソフィアが!?』
「…(頷く)今、リックが追ってる」
「助けに行くか?」
「いや、どこに行ったかも分からない。少し待とう」
「ソフィア……」
「大丈夫よ、キャロル…」


ローリはキャロルの背中をさする。
全員がソフィアの無事を祈って2人の帰りを待った

…が、戻ってきたのはリック1人だった。


「ソフィアは…?」
「戻ってきてないのか?」
「いいえ」
「………シェーン、グレン、ダリル。付いてきてくれ」
「あぁ、分かった」
「待って!ソフィアは無事なの!?」
「ウォーカーは俺が殺した。大丈夫だ」
「……ソフィア…」


更に泣き出すキャロルを抱いたローリは
リックを見てしっかりと頷く。
それを見たリックは3人を連れ、森に戻ってしまった。


「ソフィア、大丈夫かな…」
『大丈夫よカール。きっとみんなが連れて帰ってきてくれる』


不安そうなカールの声。
私はカールと目線を合わせて手を握った。


「うん……」
『今はパパ達を信じて待っていよう。ね?』
「分かった…」
『さぁ、少しあっちに行こう。』
「うん」


森の側にいては何かあった時にカールを守れないかもしれない。
そう思い、キャンピングカーの近くに連れて行く。
デールも見張りのため、キャンピングカーの上に登った。

どうか…ソフィアが無事に戻ってきますように……



ところが戻って来たのはグレンとシェーン。
2人はキャロル達に何かを話しているが、私達には聞こえない。


「ねぇ、ソフィアは?パパもいないよ」
『そうね。まだ探してるのかも…後で聞きましょう』


シェーンの話を聞いたみんなはそれぞれ散り散りに。
ローリも私達の元へ戻ってきた。


「ママ!」
「カール…」


カールをしっかりと抱きしめたローリ。
カールの耳元で「大丈夫よ」と囁いている。


「エリー、ありがとう」
『んーん、何もしてないわ』
「いいえ。助かったわ」
『ねぇ、ソフィアはどうなったの?』
「……まだリックとダリルが探しているの。」
『そっか……』
「3人が戻るまで物資を探しましょう」
『分かったわ』
「でもあまり遠くに離れないで」
『えぇ』


さっき小さなクロスボウを見つけた車に戻る。
慌てて車の下に潜ったから、荷物を置いてきてしまったのだ。


『あった…』


荷物を無事に見つけ、背負う。
もう一度車の中を見ると、後方座席に矢があるのを見つけた。
でも矢がある座席の横には今にも動き出しそうな死体。
ただの死体なのか、ウォーカーなのか…区別がつかない。
念のため、後方座席の窓を叩くが動きはない。
良かった…ただの死体だった…

ただの死体で安心するなんて、なんて世の中なんだろう…
私は矢を取って、見つけたクロスボウに当ててみるが
サイズが合わない。ダリルに後で渡してみよう。

荷物が増えたので、1度みんなの元に戻ると
シェーンの近くの車のラジオが流れ出した、


「局所信号?」
「80キロ圏内だろう」


救助が来る、そうラジオは言っている。
だが、シェーンがすぐに切ってしまった。


「うるせぇ。さぁ、続けよう」


シェーンのひと言でみんな物資探しを再開する。


「エリー、どうした?それ」
『素敵でしょ?そこで見つけたの!』
「クロスボウ?」
『ダリルのよりは小さいけどね』
「でも銃より静かな武器が手に入った」
『お手柄でしょ?』
「あぁ、お手柄だ」


グレンはにっこり笑うと私の頭をくしゃくしゃと撫でた
私も嬉しくなって笑う。


「グレン、エリー。1度、集めた物をちょうだい」


ローリに言われて、集めた物資を渡す。
もちろんチョコバー以外をね。


「あとはもう少し薬があるといいんだけど…」
「Tドッグのケガに効くようなやつ」
『分かったわ、探しましょう』


再び、みんなで車の中を探すが、
あまり使えそうな薬は出てこなかった。






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