朝目が覚めると、隣にはダリル。
腕枕をして私をしっかりと抱きしめている。
なんだかすっごく恥ずかしい状態…
それにほら……お互い服を着ていない…
昨日の夜の情事を思いだしてまた恥ずかしくなる。


「早起きだな」
『たまたまよ』
「おはようのキスはないのか?」
『……歯磨きしたらね』
「はは。昨日はあんなに可愛かったのに」
『やめてよ!ダリル!』


お互い笑い合い、キスを交わす。
するとダリルが私の上に覆いかぶさってきた


「いいだろ?」
『…朝よ?』
「関係ないね」


ダリルに求められることは嬉しかった。
私もダリルを求めた。
ジムにはこの事も分かっていたのだろうか?


『シャワーお先。ダリルもどうぞ?』
「あぁ。リックが呼びに来た
 シャワーを浴びたら朝食だ
 エリーは髪を乾かしておけよ」
『昨日も言ってたけど、どうして?』
「……髪が濡れているとヤりたくなるだろ?」
『バカじゃないの!』


ダリルは笑ってシャワー室に入って行った。
髪が濡れたらセクシー…ってこと?
そういえば大学の友達もそんなこと言ってたっけ?
日本だけかと思ってたけど、そうじゃないみたい。

そんなことを考えながら髪を乾かし、
服を着て準備を整えた。


コンコン


『はい?』
「エリー、ここにいたのか?」
『リック、おはよう』
「おはよう。見つからないからどこにいるのかと」
『ごめんね、リック。ダリルが出てきたらすぐに行くわ』
「あぁ、分かった」


シャワーから出てきたダリルと共に向かう。
平気そうに見えたリックも二日酔いが酷いらしい。
特にグレンはグロッキーな状態だった。


『グレン、あなた…平気?』
「あぁ…平気じゃないよ…気持ち悪い…」
「グレン、薬を飲んで」
「あぁ…」
『薬?二日酔いの薬ね。水を取って来るわ』
「あぁ…」


二日酔いが酷いグレンは"あぁ…"としか言わない。
なんだかとってもおかしくて笑いがこぼれた。


『はい、お水。ちゃんと飲んで』
「あぁ…」
『ふふ』
「エリー。朝食を食べて」
『ありがとう、ローリ』
「卵料理か?」
「二日酔いに効くって!」
『カールは物知りね!』
「さっきTドッグが」
「あぁ…二度と飲ませないでくれ…」
『ふふ。笑っちゃいけないけど、笑っちゃう』
「あぁ……」
『ふふふ』


二日酔いのグレンには悪いけど、笑ってしまう。
そうダリルに話しかけると、卵料理を食べながら彼も笑った。


「おはよう」
「おはよう。二日酔いか?」
「最悪だよ……」
『シェーンも二日酔い?ダメな大人が多いわね』
「その様だな」
「その傷…どうした?首のところに傷が…」
「寝ぼけたのさ」
「珍しいな」
「初めてさ。どうかしてる…」


寝ぼけた…?
でも昨日娯楽室前で会った時には既に…
つじつまの合わない話に不思議に思いシェーンを見ると
シェーンの鋭い目線の先にはローリ。
ローリは気まずそうにしている。
……やっぱりこの2人は何かあったんだ


『ねぇ、昨日』
「エリー」
『…?なに?ローリ』
「おかわりは?」
「食べておけ」
『あー…じゃあ、少しだけ』


正直、もうお腹いっぱいになりそうなんだけど、
ダリルがそう言うからおかわりを貰って食べ始める。
そのうちにジェンナー博士が起きてきた。


「おはよう」
「おはよう」
『博士、おはよう』
「あー…朝から質問攻めは気が引けるが…」
「するんだろう?」
「卵が目的じゃないわ」


アンドレアの発言に空気が張り詰める。
ジェンナー博士は私達を最初に血液検査を行った
部屋まで連れて来て、映像を見せた。

私はダリルの隣に座り、博士の説明を聞く。


「意味が分からない」
「シナプスだよ」


ジェンナー博士の話は今までの私達では
知る事が出来なかった事を教えてくれた。
映像があり、非常に分かりやすく、理解しやすい。
そのため…アンドレアには残酷だ。
もちろん私達も。エイミーやジムの事を思うと胸が痛い。


「ワークステーション終了。」
「ワークステーションを終了します」
「原因は分からないの?」
「微生物かウイルスか…寄生虫かもしれない」
「神の怒りかも」
「ありえる」
「どこかの誰かが知ってるはずよ…
 他の研究者がいる施設は?」
「……どこかに…あるかも」
「なぜ知らないんだ?」
「システムがダウンして通信できず…
 約1ヶ月、1人で暗闇にいた」
「ここ以外に施設はないんでしょ?そうなんでしょ?」
「そんな……」
「また酔っぱらってやる……」
『ダリル…』


両手に顔をうずめるダリルの背中をさする。
この世界に博士しか研究している人がいなくても
この人が世界を救う人かもしれない……
それにここは安全だし…


「君の苦労を知って気が引けるが…質問がある
 あの時計は…秒読みをしている。ゼロになったら?」


デールの発言を聞いて時計を見ると
1時間程でゼロになるのに気が付いた。
デールは本当に細かい所に気が付く


「それは……発電機の燃料が切れる」
「それで?」
「………」
「バイ。燃料が切れたら?」
「燃料が切れた場合、施設ごと汚染除去します」
『汚染除去……』


その言葉を聞いてリック、シェーン、グレン
Tドッグの4人は燃料を探しに出て行った。

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