キャンプの場所まで近付くと銃声と叫び声が聞こえる。
メルルがキャンプを襲って…!?
いや、あそこにいるのはウォーカー!?


「くそっ!」
「みんなを助けるんだ!いいな!?」
「あぁ!」
『分かった!』


そこからというもの、まずは仲間を見つけ様とするも
この暗がりと多数のウォーカーで見つけられない…
そこら辺に居るウォーカーを撃つ勇気も出なかった


「エリー!!!こっちだ!!」
『シェーン!!』


呼ばれた方を振り向くとウォーカーから
みんなをかばう様にして進むシェーンの姿が。


「一番後ろを頼めるか!?」
『分かった!』


シェーンに指示された通り、列の一番後ろで
後ろからウォーカーが襲ってこないか警戒する。
リック達の必死の攻撃のおかげでそれから私達が
ウォーカーに襲われることはなかった。


「無事か!?」
「何人かやられた……」
「エド…!」
「パパ!」
「あぁ、エイミー……どうすればいいの…?」


ウォーカーがいなくなり、落ち着くに連れ
亡くなった人達との最後の別れを突き付けられる。
私はこの状況でどうしていいか分からず、
ただ呆然と立ち尽くしていた。


「おい」
『……ダリル…』
「ケガはないか?」
『えぇ。大丈夫よ』
「そうか…今日はもう寝るといい。
 明日からは死体の処理で忙しいぞ」
『えぇ……』


私の返事を聞くとダリルはこちらを見て頷き
肩を叩いてテントの方へと行ってしまった。


『ダリル!』
「…?」
『ありがとう』
「あぁ」


私は一人キャンピングカーに戻り、眠りについた。





夢を見た。
私は走っている、ウォーカーから。
逃げて逃げて…
もう逃げられないとウォーカーに対峙した時
そのウォーカーはホストファミリーの彼だった。
私は戸惑いのあまり銃を構えられず…
彼に食べられて、ウォーカーになった。


『…っ!はぁっ、はぁ……』


夢から飛び起きる。
自分の体が震えているのが分かる。
夢を見ながら泣いていたみたい…


あまりにも鮮明過ぎる夢を思い出し
一気に吐き気を催す。
キャンピングカーの中で吐く訳にはいかない…
急いで外に出て、少し森の中に入った所で吐く。
涙があふれて止まらない。
どうして世界はこんなにも壊れてしまったんだろう
どうして私達はこんな想いをしなければならないのだろう
私が何をしたっていうのだろうか
辛くて辛くてたまらない…
ここには、私の家族は一人もいない。
家族の元へ帰りたい。
友達に会いたい……


「大丈夫か…?」
『…!?うっ…』
「吐けるなら吐いちまえ。その方が楽になる。」


そう言いながら背中をさすってくれるダリル。
正直、吐いてる姿なんて誰にも見られたくなかったが
今は彼の優しい手つきに救われた。


『もう大丈夫…ありがとう…』
「水を」
『ありがとう』


ダリルがくれた水で一度うがいをしてから飲む。
私の大嫌いなぬるい水。
私は冷たい水が大好きだった。
でも今はこのぬるい水がなんとも美味しく感じた。


「火の近くに行こう」
『えぇ。』


ダリルと火の近くに移動して座る。
見張りはデールが担当しているらしい
キャンピングカーの上に座っていた。
そして側にはエイミーとアンドレア
あれからずっとアンドレアはエイミーの側を離れず
あぁやって座っているらしい。
ダリルもしばらく2人を見つめていた。


「ウォーカーと戦うのは初めてか?」
『…(頷く)今までも襲われた事はあったけど…
 ずっと守られてきた。目の前でこんな…
 こんなことは初めてよ……』
「これからは今までの様にはいかない…
 ウォーカーは増え、人は減る一方だ」
『……そうね。はぁ……
 私達はこれからどうなるの?』
「さぁな…」


それからしばらく沈黙が続いた。
お互い色々考えていたと思う。
沈黙だったけど、嫌な空気では無かった。


「そろそろ寝れそうか?」
『……寝るのが怖い…』
「大丈夫だ。みんながいる」
『………(頷く)』
「よし。じゃあ戻って寝ろ」
『ありがとう、ダリル』
「あぁ、いい夢見ろよ」
『あなたもね』


ダリルは最後にこちらを見て頷くとテントに戻った。
キャンピングカーに入る前にデールにもお休みと
見張りのお礼を言ってから、寝所に戻る。

どうか……夢の中くらいは…
幸せでいさせて欲しい……





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