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<エリー side>


『リリー遅いなぁ……』
「ジェームズがいるから大丈夫だって」
『だって心配なんだもの』
「そんなこと言ってたら帰って来たよ」
『リリー!!!』
「お待たせ、エリー」
「ただいま〜」
「遅かったな」
「まぁね。ところでご飯食べた?」
「エリーは?食べた?」
『まだだよ。みんなで待ってたの』
「じゃあ食べに行きましょう」
「僕達も行こう」


六人でグリフィンドールの談話室を出る。
あれ?そういえば自然と六人で出てきたけど、
今日はリリーはジェームズを嫌がらないんだ…
今更か…ここまで二人で戻ってきたんだもんね


「なに?どうしたの?私の顔に何かついてる?」
『えっ、ついて、なくはないけど…』
「ふふ、なによ、それ」
『今日の晩ご飯はなんだろう〜?』
「今日はチキンが食べたいわ」
『奇遇ね!私もよ!』
「奇遇だな、俺もだ」
「君はいつも食べたいだろう?」
「そうだよ。チキンが何より好きなくせに」
「悪いかよ」
『悪くないよ、ね?リリー』
「そうね。だって美味しいもの」
「僕もそう思う!!」
「ジェームズ。お前……」
「なんだい?」
「なんでもない…」


まさかこの六人でこんな楽しい会話が出来るなんて
夢にも思わなかった…いつも喧嘩ばかりしているのに。
なんだかとても不思議……

あんなことがあったすぐ後だと言うのに
居心地の良い空気に身を委ねていた。
そしてこの光景をセブが見ていることに
私もリリーも、全く気がつかなかった。




「ちょっと、どうして隣に座るのよ」
「いいじゃないか、リリー」
『あっ、チキンあるよ!シリウス!』
「今日も美味しそうだな……」


私の目の前に座ったリリーの隣には
いつの間にかちゃっかりジェームズが座っていた。
そしてその隣にピーター。
私の隣にはシリウス、そしてリーマス。

全員がチキンを取って晩ご飯の時間は始まった。


『美味しい〜!』
「今日はバーベキュー味だな」
『いつも味が違うの?』
「一緒だったり、違ったり…バラバラだけど」
『ふーん。毎日食べてるの?』
「だいたいな。今日は味が濃いな」
「リリー?美味しいかい?」
「えぇ。美味しいわ」
「こっちはどうだい?あっさり味の鶏だよ」
「……頂くわ」
「はい、残りのチキンはエリーがどうぞ」
「あっ!ちょっと、ポッター!」
『リリーもういらないの?じゃあ食べちゃうね』
「ありがとう…」
「さっ、こっちを食べて!」
「……はぁ…」
「ジェームズ」
「なに?リーマス」
「そっちのデザートを僕の為に取ってくれるかい?」
『リーマス、もうデザートなの?』
「うん、もう十分食べたからね」
「もっと食べろよ。ほら」
「……ありがと…」
『シリウス、それは入れすぎなんじゃ…』
「細いんだからもっと食べないとだめだ」
『でも…』
「いいんだ、エリー。ありがとう」
「リーマス。後で取ってあげるから」
「うん…頼むよ……」


和やかな空気のまま食事を終え、談話室に戻った。
ベッドに入った後、私は今日あったことを振り返り
もう一度、私の力は何のためにあるのかをよく考えた。

今日の様な、暴走は二度としてはならない。
そう心に堅く誓った。






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