そして次の日、私は図書室に向かった


『セブ!!』
「…エリーか」
『何よ、リリーが良かった?』
「そういう訳ではないが…」
『でもセブっていつもこの場所にいるのね?
 セブのお気に入りの席なの?』
「あぁ、静かで目立たない良い席だ」
『ふーん…そうだ、今日の夜なんだけど
 リリーとお月見しない?最近ゆっくり話せて
 ないから、たまには寮を離れて話ましょうよ』
「月見か…悪くないが、寮を抜け出すのは…」
『あら、一日くらい、いいじゃない
 要はバレなければいいのよ。北の塔はどう?
 あそこならフィルチも人もあまりいないし…』
「分かった。何か持って行く物はあるか?」
『念のため杖を。後は私とリリーで用意するわ』
「あぁ、じゃあ夜に北の塔で」
『えぇ、楽しみにしてる』


それからセブとお互い参考になった本を
教えあって、私もそれとアニメーガスの
簡単な論理の書いてある本を借りてから
寮に戻り、リリーとお月見の準備をした。
まさか準備をポッターに見られてるとは
思わなかったけれど…


夜、私とリリーは荷物を持って
寮を抜け出そうと談話室を通り過ぎる時


「やぁ、夜更かしかい?リリー、エリー」
「……ポッター」
『そっちこそ夜更かし?ポッターにシリウス』
「シリウスのことを名前で呼ぶなら僕も
 ジェームズって呼んで欲しいな、エリー」
『あなたもfamily nameが嫌いならね』
「残念。僕はfamil ynameが好きだからね」
『そう、それは残念ね、ポッター』
「リリーもジェームズって呼んでくれないの?」
「その傲慢な態度が直ったら考えて
 あげてもいいのよ、ポッター。」
「辛辣だね、二人とも」
『「事実を述べているだけよ」』
『私のどこが辛辣なのかしら?』
「理解しかねるわ、ポッター」
「やれやれ」
「もうジェームズのことはいいだろ」
「良くはないけどね、シリウス」
「本題に移ろうぜ、ジェームズ」
「まだ何かあるの?」
『私たち急いでるんだけど』
「こんな夜更けにどこへ?」
「それは…」
『秘密よ。どうしてあなたに話さなければならないの?』
「もう寮を出てはいけない時間だよ、エリー」
『貴方たちには言われたくないけど…』
「それもそうだな…(笑)」
「シリウスは黙っててくれないか?」
「…すまん…」
「エリー、夕方何か楽しそうな準備を
 していたようだけど、何をしていたの?」
『別に…?それが何?』
「エリー…そろそろ…」
「僕達も仲間に入れてよ!」
『「え!?」』
「絶対に嫌よ、ポッター!!」
『お断りよ、ポッター』
「お前…本当にエバンズ姉妹に嫌われてるな」
「うるさいよ、シリウス…!」
『もう時間がないから行くわ、じゃあね』
「さよなら、ポッター。ブラック。」
「リリー!!!!」
「気安く呼ばないで!!!」


リリーの鉄拳でポッターを沈めた後
急いでセブを待たせている北の塔に向かった


『「セブ!」』
「…遅かったな、リリー、エリー」
「ごめんなさい、セブ」
『忌々しいポッターに捕まったの』
「ポッターめ…そうか、良く来れたな」
『リリーが沈めたから』
「エリー、その言い方嫌よ(笑)」
『今日は月が綺麗ね…素敵な満月だわ』
「あぁ…そうだな…」
「そうね、綺麗だわ」


それから三人で紅茶を飲み、クッキーを
食べながらホグワーツでのことを話した
リリーはセブに新しい友達について
進言してたけど…セブは気に留めてなかった


「そろそろ戻ろう、明日も授業だ」
「そうね、寝ないと授業中に寝てしまうわ」


楽しいお月見を終え、後片付けを始めた時
どこかから狼のような生き物の遠吠えが聞こえた


『…今の、聞こえた?』
「何?何も聞こえなかったわ」
「何も……」
『そう…?気のせいかしら…』


どこか悲しげな、そんな遠吠えが聞こえた。
そんなような気がしたんだけど……
さすがに禁じられた森にも狼はいないよね…?
犬か何かかな…?
きっと満月に感動したのね…
そういうことにしておきましょう


そうしてセブと別れた後、リリーと
グリフィンドール寮に戻れば談話室の
ソファで寝ているポッターとシリウスがいた
そっとタオルケットをかけて私たちもベッドに入った



次の日
タオルケットからリリーの香りがする!
と熱烈な気持ちの悪いお礼を言われたが
リリーが即座に沈めていたのですぐに
朝食を食べ、リーマスと図書室に向かった


「エリー、一昨日はありがとう
 この本すっごく面白かったよ。僕の好みだ」
『そう?それは良かったわ。確か似たような
 本が他にも種類あったけど、借りてみる?』
「うん!ぜひ頼むよ!!」


図書室に着いた時、ふと気が付いた
あのシリーズがあるのはセブのお気に入りの席の近く
……セブがいなければいいけど


『本を取ってくるわ、待ってて』
「え?僕も行くよ。種類があるなら選びたいし」
『あー、そう?こっちよ』
「……スネイプ…」
「チッ、ルーピンか…」
『あー、ごめんね、セブ。ここにリーマスの
 お気に入りのシリーズがあるから取りに来たの』
「あぁ、その種類か。前にエリーが借りてたな」
『そう、リーマスにもお勧めしたら他の種類を
 読んでみたいって言うから連れて来たのよ』
「…僕も今その種類の本を読んでいる
 テーマは…人狼だ。なかなか面白いぞ」
「人狼だって……?」
「……そうだが、何だ。」
『リーマス?どうしたの?顔色が良くないわ…』
「大丈夫だよ、エリー。それよりスネイプ。
 なぜその本を読もうと思ったんだい?」
「貴様には関係ないだろ」
「いいから教えてくれよ!!!!」


柄にもなくリーマスが叫ぶ
マダム・ピンスがギロっと睨んできた
リーマスがその目に気付いた様子はない


「目についたからこれを選んだ
 僕がこれを読んでいるのに深い意味はない」
「そう、か…大声を出してごめん、スネイプ。
 あと答えてくれてありがとう」
『大丈夫?リーマス』
「あぁ、すまないね…」
『その…人狼が…怖いの?』
「……あぁ、怖いよ。昔、本物を見たんだ
 あの時の恐怖と失望感は忘れられそうにないよ」
『そうなの…でもそれ以外にも面白いシリーズは
 たくさんあるわ!それを借りましょう、ね?』
「うん、ありがとう。悪戯ピクシーにしようかな」
『えぇ、それ楽しそうね!感想教えてね』
「うん、もちろんだよ」


やっとリーマスが笑ってくれた
さっきは本当に驚いた……
あんなにも顔色を悪くしながら大声を出す
リーマスは初めて見たから…
でも本当のリーマスに触れられた気がして
少しだけ、良かったなって思った。


『じゃあセブルス、またね?』
「あぁ、またな。…ルーピン体調には気を付けろ」
「…!?あっ、あぁ。ありがとう、スネイプ」


セブルスと別れて図書室を出る
たまたま持っていたチョコレートをあげると
リーマスは嬉しそうに食べてくれた
顔色も心なしか戻っている気がする
……ホッとした



『そういえば、もうすぐクリスマスね』
「あぁ、そうだね。エリーは家に帰るの?」
『えぇ、その予定よ。家族でパーティをするの』
「そうなんだ、それは素敵だね」
『リーマスは?』
「僕も帰るよ、父さんが待ってる」
『お互い素敵なクリスマスを過ごせるといいわね』
「そうだね。エリーとエバンズに
 クリスマスプレゼントを送ってもいいかな?」
『もちろんよ!嬉しいわ。リリーにも伝えておくわね』
「あぁ、ありがとう。そうしてくれると助かるよ」
『……リリーはポッターとシリウスのことは
 大嫌いだけど、リーマスのことは
 嫌いじゃないから安心してね?
 安心っていうのもおかしいけど(笑)』
「ありがとう(笑)」
『リーマスへのプレゼント考えなきゃ!
 何がいいかな?ふふ』
「楽しみにしてるよ」
「リーマス!!」
「シリウスだ…エリー行くよ。またね」
『うん、またね、リーマス。病み上がりなんだから
 無理してはしゃいじゃだめよ悪戯もほどほどにね?』
「分かったよ(笑)ありがとう」


リーマスと別れて談話室へ。
待ち構えていたリリーに変身術のレポートの
質問を受けながら、アニメーガスの本を
読み、両親に手紙を書き、ベッドに入った


そして時はクリスマスを迎える





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