24 | ナノ

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荒井さんとおめめ



(割とぐろい)








「例えば頭。人体のなかでまず目に付く部分と言えば頭だと思うんです。何せ、人の第一印象は大概の場合顔で決まると思いますから。ぱっと見て、個人を識別できる部品が多く集まっている部分―なのでは、ないでしょうか。そう言う意味では、頭というより顔と言ったほうが或いは正しいのかもしれません。顔、そうですね、まずは―瞳、でしょうか。人種によって瞳の色が違うのは紫外線の影響によって光彩の色が左右されるのが原因、でしたっけ―生憎、僕はあまり詳しくないのですが。何にせよ、ブラック、グリーン、ブラウン、ブルー…様々な色の瞳はまるで宝石のようで、綺麗だと思う人も少なくないと思います。―集めたい、なんて物騒なことを考えるひとだって、いるのではないでしょうか。瞳というのは柔らかいものですからね。瞼と眼球の間に爪をひっかける。そこからゆっくりと上を探るように指を侵入させて―潰さないように、細心の注意を払うことを忘れずに。ぐるりと円を描くように一気に奥に指を回して、あとはぶちりと血管から引き剥がせばいいわけですから、結構簡単に手に入るのではないでしょうか?―僕は、意識のあるまま眼球を抉られるとどういう風に視界が変化するのか、少し興味を唆られますね。突然眼前が暗転してしまうのか、はたまた血の色で赤く染まるのか―どちらにせよ、激痛にはかわりないでしょうから、気を失うか下手すればショック死してしまうかもしれませんね。―ヒヒ、取り出した眼球はホルマリンにでもつけて保管するもよし、―食べる、というのも一つの方法かもしれません。まあ、僕は事後処理にはそこまで興味がないのでこの話は割愛しましょう。…どうしたんですか、坂上くん、視線がうろついていますよ。ヒヒ、そんな風にきょろきょろとされたら―ひょっとして抉ってしまうかもしれないじゃあないですか」