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――武田道場の特訓から暫くして、西国の鬼と呼ばれる人が甲斐に来られることになった。

その報せを聞いた時、私はちょうど苦無での防御の特訓を行っている最中であった。



苦無での防御の仕方、攻撃の見極め方を中心に佐助さんから特訓をつけてもらっていた私は今では特訓前よりかは成長していると自負出来るくらいには身を守れるようにはなっていた。

それでも……あの後何回かあった武田道場での特訓においてはいつもいいところまでいってから、天狐仮面もとい、佐助さんに捕獲され敗北という結果に終わっていた。

ちなみに最初に経験した罰ゲームは1回目以来、行っていない。

…試しに4度目の武田道場への挑戦の際、そのことについて聞いてみたものの、佐助さんは頭を掻きつつ、微妙な表情で教えてくれた。


「あー…ほら、あれで敵に捕まった時どうなるか分かったでしょ。敵地に赴いた時の危機感さえ持ってくれればと思ってやったことだからさ。…それに何度もやってたら、流石の俺様でも我慢できないというか……あ、これはこっちの話。」


…とりあえず佐助さん曰く、私には佐助さんがもういいだろうと思うくらいの危機感は身に着いたようだ。

…最後の佐助さんの話はよく分からなかったけれども。

だって普段軽いセクハラを頻繁にしているんだもん。

あんなの数のうちに入らないだろうし。



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bkm
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