――厨に戻った私はお茶淹れの修業を再開した。

お茶の葉を急須に入れておき、一旦お湯を器に入れ器を温める。

湯冷まししたお湯を急須の方に入れ、少し経った後器の方に注ぐ。

どうやら前の世界のお茶の淹れ方で良かったらしく、一発で海野さんと根津さんからはOKを貰えた。


「…あとは火熾しが問題だな、お前の場合は。」

「あれですよ、いざという時は幸村さんに頼んで火を出してもらって……。」

「そんなんしたら、この屋敷が燃えちまうよ。」

「…ですよね。幸村さん、加減を知らなさそうだしなぁ。」

「それ以前に主を使って、火を熾そうとしている考えが問題だろうが。」


 海野さんに冷静にツッコミを入れられ、3人でお茶を飲みながら和んでいると、根津さんがふと疑問に思ったことを呟いた。


「…そういや長は?」

「あー…さっき才蔵さんがきてましたよ。任務が終わったから立ち寄ったとは言ってたんですけど、何かあったんですかね。」

「俺が見てこよう。」


 私の言葉を受けて、海野さんは立ちあがった。

しばらく経った後、海野さんはこっちの部屋に帰って来る。

…どことなくボロボロだ。

その海野さんの姿に根津さんはぎょっとした表情を浮かべた。


「どうしたんだよ、六郎?」

「長と才蔵、あと鎌之介が本気の喧嘩をしていた。止めようとしたんだが…巻き添え食らっちまった。しかも名前の怪我の分だって言いがかりもつけられたな。」

「あー…なんかすみません。」

「…俺、あの3人にはしばらく近づかないでおこう。六郎みたいに巻き添え食らいたくないし。」


――何が原因であの3人が喧嘩をしているのかは分からないが、触らぬ神に祟りなし…ということでその話題には触れず、3人でお茶を飲んで過ごしていた。



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