――戦国時代の夕餉の時間は早い。

私は未だにこの健康すぎる生活に慣れない。

ちょうど執務の終わった幸村さんと夕餉を食べていると、早くに食べ終わった幸村さんが私に聞きづらそうな表情で問いかけた。

…一体、何を聞かれるのだろうか。

思わず身構えてしまう。


「名前…つかぬ事を聞くが、いつの間に佐助とそのような仲になっておったのだ?」

「…えっと、何のことでしょうか?」

「今日、佐助から聞いた。名前を忍隊の方で貰い受けると。その話は名前も今まで忍隊の管轄で佐助や風魔殿と戦っておったのもあり、了承した。忍としては使えぬというから、忍専属の女中として預かるという話も聞いた。だが佐助はその後に名前のことを好いてしまったと言っておった。」

「…すみません、話が見えませんが。私が忍専属の女中になることは私が言い出したことなので、いいとして…後の奴は何でそんなことを幸村さんに?」

「俺だけはないぞ。御館様もその場におられた。それを聞いた御館様は快く名前を佐助にやることを決められていたぞ。」


 私の人権はないのだろうか。

いつの間にか私の処遇が決められていたことに動揺を隠せない。

動揺したまま、何故その話を私にしたか幸村さんに聞くと、幸村さんはニッコリ笑った。


「うむ、名前に真偽を確かめたくてな。その様子だと、佐助が名前のことを好いておるという話は本当だったようだな。なれば、俺も御館様の決定に異論はない。もとより御館様は人を見る目のある御方だからな。この前の戦の際も……。」



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bkm
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