その日の夜、長旅を終えた私達…といっても私の場合、殆ど抱えられているだけだったんだが。

3人と私は私に宛がわれた部屋にて休息をとっていた。

どうやらかすがちゃんは今日、甲斐に泊まるらしい。

その報せを聞いた途端、私はまるでナンパをするかのごとくかすがちゃんを誘った。


「かすがちゃん、私と一緒に寝ませんか。」

「っていきなり何を言い出すんだ、お前は!幼子の姿でもないから、名前と一緒に寝る必要はないだろう!」

「そんな堅いこと言わなくてもいいのに。」

「アハー…振られちまったね、名前ちゃん。」

「振られましたね、佐助さん。じゃあ今日は皆で幼子になって眠ってくれませんかね。ほら、きっと微笑ましいはず。」

「……。(断る。)」


…何だか読唇術を覚えた途端、小太郎君がツンデレになった気がする。

そう感じ、がっくりと小太郎君に向かって項垂れてみせると、気の毒に思ったのか私の頭を小太郎君は撫でてくれた。


「……。(勘違いするな。3人とも幼子化すると、いざという時動ける奴がいなくなる。だから俺は断った。)」

「小太郎君……!」

「…って俺達が幼子化するのは確定なわけ?」

「…お前だけやってろ。私は嫌だぞ。」

「…かすがちゃんがつれない。」


――涙目でかすがちゃんをじっと見つめていると、かすがちゃんは顔を逸らし、「少しだけならな。」と呟いた。

うん、本当のツンデレはかすがちゃんで決まりだよ!



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