――作戦が始まったら、3人とも忍びの顔だ。

立ちはだかる敵をのしていきながら私達は進んでいく。

私も拙いなりにも、飛んでくる武器を苦無で跳ね返してみたりなど最低限の防御は行っていた。

それを見ていたかすがちゃんは感心したような顔で呟いた。


「……確かに防御の術は身についているようだな。」

「でしょ。俺様が直々に特訓つけたんだから、このくらいは当然ってね。」

「…あとはお前の下心に気付くくらいの危機感が必要だな。」

「…そこまでは必要ないと思うけど……って痛っ!?ちょっと俺様を巻き込まないでくんない?」

「……。(…真面目にやれ。)」


…訂正。

戦中、忍びらしかったのは小太郎君だけでした。

途中分かれ道に入り、佐助さんとかすがちゃんは敵を出来るだけこちらを追わないよう分身を私に化けさせ、陽動し、私と小太郎君は真っ直ぐ敵の懐まで進んでいく。



 船内内部を通って舵を取る船室のようなところまで辿り着くと、長曾我部さんは待ちかねたように構えていた。

…どこか少し不満げな顔だ。

何でと思う間もなく、その訳はすぐに分かった。


「同盟国の忍の力は分かったけどよ…イマイチお前の力ってのが良く分かんねぇんだよな。今んとこ、期待外れもいいところだ。早く俺に宝の価値を見せてくれよ。」


――何だかこちらを煽るような言い方をされて、少しイラッとしながらも、小太郎君から降ろされ、私は苦無を携え真っ先に長曾我部さんの懐へ飛び込んだ。

勿論、その周囲の敵の殲滅は全て小太郎君がやった後だ。

1人ずつしか幼児化させることのできない私の力だ。

同じ間違いは二度と起こさない。

佐助さんとも小太郎君とも約束したんだ。



 私が飛び込むと、長曾我部さんも「…戦で見せられる力か?なら、受けて立つぜ!」と言いつつ、碇のような槍で私の攻撃を受けようと立ち向かった。

その瞬間、私は苦無を引っ込め、その槍に刺さろうとする。

…出来れば痛くありませんように。

――目を瞑り、迫りくる痛みに構えていると、いつの間にか私は小太郎君に受け止められていた。


「……成功したの?」

「……。(ああ、作戦成功だ。)」


 小太郎君は頷くと、忍びにしか聞こえないという笛でもって2人に作戦成功を伝えた。

…そういえば長曾我部さんはどこに倒れているんだろう。

ぐるりと見回すと、…それらしい幼子が1人。


「ってえ……。」



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