御館様が上杉に文を送り、かすがちゃんもその戦に参加することが決まると、日数も経たないうちに日程が決められ、気が付くと四国の長曾我部さんの居城(というより船)の前に立っていた。

…というか戦国時代だよね。

こんな機械あっていいのかな。

あまりにも吃驚したため、「ほえー」と間抜けな声を出しながらその船を見つめていると、かすがちゃんは溜息をついた。


「…敵の根城の前でそんな気の抜けた声を出す奴があるか。佐助、本当に名前をしっかり特訓させたんだろうな?危機感はあんまり身についていないようだが。」

「…うん、まあ。危機感は…ね。自分を守る術はちゃんと身につかせたから多分大丈夫だって。」


…あれ、私って佐助さんに太鼓判を押されるくらいの危機感は持てたんじゃなかったっけ。

思わず首を傾げてみせると、2人は溜息をついた。

…え、意味が分からないよ。



 ともあれ敵地潜入任務を負った私達はまずはチーム分けを始めた。

敵を陽動し、殲滅していくのが佐助さんとかすがちゃん、私を長曾我部さんのところまで連れて行くのが小太郎君というチーム分けを佐助さん主導の下、行った。

今思えば初めて佐助さんが近くにいない任務だ。

そのことを小太郎君に話すと、私の手を口許に宛てて何か話してくれた。

ちなみに最近、読唇術を会得したばかりである。

…主に使いたかったのは小太郎君にだけど。


「……。(猿飛からの希望だ。お前といると忍でいられなくなる、と。)」


…忍でいられなくなる?

どういうことだ、それは。

相変わらず佐助さんの真意が読めず、小太郎君に曖昧な笑みを浮かべてみせるのであった。


「……。(哀れだな。)」

「…風魔、頼むからそんな憐れんだような雰囲気で俺を見ないでくれる?」

「ふん…いい気味だな、佐助。」

「ってかすが、酷くない!?」


…なんだか3人(この場合は3忍か?)とも仲が良いな。

微笑ましく思いながら、3人がわちゃわちゃするのを私はしばらく眺めていた。



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