――2階に上がると、沢山の兵がひしめいていた。

…多分、全部忍びの分身だと思う。

幸村さんはそれを二槍で薙ぎ払いつつ、進んでいく。

その中には小太郎君の姿もあり、私は思わず抱き付いた。


「小太郎君!」

「……!」


…私の行動を把握しきれなかった小太郎君は苦無を構えたままだったので、幼子化する。

…幸い私に刃を向けている人は幸村さんが敵を惹きつけているおかげでおらず、上手く2階の層も攻略することが出来た。

…今回は余裕だ。

未だ無双し続けている幸村さんを見ながら私は腰を下ろした。

その途端、自分の身体が空中に舞った。

私を担ぎ上げたのは天狐仮面もとい、佐助さんだった。


「はいはい、名前ちゃん。まだ敵の城にいるのに油断しちゃ駄目でしょ。」

「なっ…!?天狐仮面殿、いつの間に……!」

「旦那、名前ちゃんを守れって言っただろ?…隙だらけ。おかげで簡単に攫うことが出来たわけ。勝負ありってね。ちょっと名前ちゃんに説教してくるから、御館様に言っといてくれる?」

「…天狐仮面殿?気のせいか…佐助のような喋り方をしているような気が。」

「…って猿飛佐助が言っていた。伝えてくれないか?」


――幸村さんに誤魔化しを入れながら、佐助さんは私を抱いたまま、闇の婆娑羅の中へと消えていった。



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