――それから私は夢で見たことを全て2人に話した。
2人は顔を見合わせ、どこか戸惑ったような様子を見せながらも、私の疑問に答えてくれた。
…「婆娑羅」のことやそれから2人も婆娑羅を持っている能力者であること。
風の婆娑羅を持っている小太郎君に闇の婆娑羅を持っている佐助さん…意外なところにというか、あまりにも近いところに私と一緒の境遇の人たちがいたじゃないか。
自分の力の仕組みも少し分かり、ふと息をついた。
ほっとした私とは対照的に佐助さんと小太郎君の雰囲気はどこか厳しい。
…そんなに事態は深刻なのだろうか。
2人を見つめると、溜息をついてから佐助さんは呟いた。
「はぁ…参ったね。名前ちゃんの力が闇の婆娑羅だとしたら、面倒なもんになっちまったな。」
「…どういうことですか?もしかしてこの婆娑羅っていう力には何か秘密があるんですか?」
「秘密ってほど秘匿してるもんじゃないけど、婆娑羅は枯渇すれば使えないし、その闇の婆娑羅は人の生命力を吸って回復する力がある。…現に俺様の力もその系統だ。名前ちゃんの力が闇の婆娑羅っていうんなら、力を抑制する術も学ぶ必要があるし、場合に寄っちゃいざという時に使えない場面も出てくるってこと。…にしても人を幼子化させる婆娑羅なんて聞いたことねぇよ。」
「…ですよね。まあ、あれですよ。力のことは佐助さんからこれから学ぶことにして、今はとりあえず前田さん達に会いたいです。ほら、元に戻さないといけないですし。」
私の言葉を受けて呆れた顔で佐助さんは頭を掻くと、寝床に座ったままの私を立たせ、出かける準備を始めた。
…いつの間にか小太郎君はいなかった。
佐助さんに聞くと、御館様のところに私の力のことで報告しに行ったみたい。
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bkm