番外編〜もしももう一度井戸に落ちたのなら2〜
――私達が落ちた場所は本丸というところで審神者が刀剣を顕現させて敵と戦っているという私達の世界とは似ても似つかないところだった。
唯一共通点があるとすれば、刀が全て日本に現存されている刀であるということだろうか。
燭台切さんがいたことによって「BASARA」の世界の歴史とは異なり、私が元いた世界のものに則していることが分かった。
件の井戸で冷えていたという西瓜を頬張りながらその話を聞いていると、またもや人が増える。
…さっきまで小さい子達が西瓜に屯っていたけれどすぐに遊びに出てしまったのも目撃した。
もしかしてあの子達も戦うのだろうか。
私のすぐ隣に座ったのは水色の髪の見た目王子様ルックの男の人だった。
…あれだ。
佐助さんで慣れてしまったと思ったけれども、こっちの世界の人も随分イケメンばっかりだ。
とりあえず佐助さんの方を見ていると、何を勘違いしたのかぎゅっと抱え込まれてしまう。
…西瓜の汁が垂れる。
懐にあった手拭で口を拭っていると、水色のイケメンさんは驚いたような表情を見せた。
「真田の紋ですか……。」
「一期さん、知っているんですか?」
「ええ、真田は私を所持していた豊臣を最後まで守ってくれましたから。最も…あの戦いで私は炎に包まれてしまいましたが。申し遅れました、私は一期一振。粟田口義光の手による唯一の太刀でございます。」
「あ、よろしくお願いします。」
「はぁ…なんか真田が武田じゃなくて豊臣の臣下にいるってのは聞きなれないもんだよね。」
「僕は君達の世界の政宗公が六振もの刀を同時に振り回しているってのが信じられないけどね。」
一期さんの言葉を受けて、佐助さんが困ったような表情で頬を掻いてみせると同じように燭台切さんも溜息をついてみせた。
…この2人、見た目じゃなくてどことなく雰囲気が似ているような……。
同じことを向こうの主さんも思ったらしく、クスリと笑った。
…同じ顔なのにあっちの方が気品のあるような気がしますね。