番外編〜もしももう一度井戸に落ちたのなら1〜




――ふと意識が浮上する。

ここはどこだろう。

確か井戸に落ちたはずなんだけど……。

視界がクリアになってくると、私を覗き見ている人がいるのが分かった。

眼帯?……政宗さんだろうか。


「おい、君!大丈夫かい?」

「…ここは……。」

「うーん…見たところ君は審神者じゃないよね。ここは僕の主の本丸。君達はどこから来たんだい?」


…訳の分からないことを言われた気がする。

って…佐助さんはどこ!?

焦って見回してみると、自分の隣に橙色の頭が見えた。

まだ意識を失っているようだ。

とりあえず状況を把握しようと思って、自分の身の上のことを伝えることにした。

懐に入れていたのは真田の紋が入った手拭。

…幸村さんに貸してもらったままの奴だった。


「えっと…ここに転がっている私の夫なんですが、この家に仕えているんです。上田ってこの世界にはないんですか?」

「上田……?遠い昔に聞いたことがあるような……うーん……。」

「あと、あなたは政宗さんじゃなくて、伊達政宗公の遠縁の方でしょうか?私、その方とも知り合いでもしよければ彼に会って家まで送ってもらえるよう頼めないでしょうか?」

「ってちょっと待ってくれ。君…政宗公の知り合いなのかい?」


 なんか驚いたような口調で眼帯の人に言われた。

…やっぱり政宗さんの遠縁か。

何故か井戸が奥州に繋がったのは謎だけれど、そこは考えないでおこう。

そう心の中で決めた時、突拍子もない言葉が彼の口から出た。


「僕は、燭台切光忠。伊達政宗公が使っていた刀なんだ。」


――は?

…刀?

私は驚きのあまり開いた口が塞がらなかった。


――to be continued …

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