St Valentine's Day in the video game
――3年目は爆弾処理とイベントの連続。
肝心のイベントも隣に佐助さんが見ている手前、萌えることが出来ず、ただひたすら爆弾処理に明け暮れるプレイをしていたところ、佐助さんは首を傾げながらポツリと呟いた。
「ごめん…これ、どういうゲーム?見ててもイマイチ分かんなかったんだけど。」
「…シミュレーションゲームというものです。これは自分をこの主人公として見立てて学園生活を送るんです。」
「…へぇ、なるほどね。で、今何やってんの?」
「そうですね…言うならば氷室先生を攻略している最中です。」
「攻略?…え、殺すの?」
…っておい、なんて物騒な発想なんだ!?
心の中で思わずツッコミを入れる。
…まあ、戦国BASARAしか知らないから仕方ないんだけど。
さて、どう言ったらいいものか。
一瞬、考えを過らすものの、いい考えが思い浮かばない。
仕方なくありのままを伝えてみる。
「えっと攻略というのはですね…氷室先生を惚れさせようというものです。」
「…謀略ゲームなの?氷室先生って奴が黒幕なわけ?」
「いや、違いますから!なんか戦国時代の人らしい発想しますね、佐助さん。これは架空の恋愛を楽しもうというものなんです。仮の恋人を作るようなそんな感じの……。」
――佐助さんが中々理解しなかったので、そこまで一気に話した途端、場の空気が変わった。
どことなく佐助さんの浮かべる笑顔が怖い。
「へぇ……つまり名前ちゃんは俺様に黙って新しい恋人を作ろうとしてたってこと?」
「いや、架空ですよ、架空!ほら、氷室先生も現実にはいないし!」
一気に私の予想通り険悪な空気に変わってきたので、懸命に弁明を謀ろうとする間に誤ってコントローラーを触ってしまう。
――『つまり私は……君を愛してる。』