dream
19 「所変われば品変わる」
「…この「シャンプー」で頭を洗って、「シャワー」で流せばいいから。あと身体はこの手拭に石鹸をつけて洗って。湯船に浸かるかどうかは好きにしてよ。右目の旦那、分かった?」
「ああ、すまねぇ。それにしても…一体、どういう風の吹き回しだ。テメェは真田の忍だろう?主を置いて、俺達の元に来る暇ねぇんじゃねぇか?」
「…名前ちゃんから何度も聞いたと思うけど、ここの世界、忍がいらなくなるほど平和なんだよね……アンタ達が旦那達に危害を加えようとしない限りは。」
「…そんな気は起こらねぇよ。テメェも真田もこっちの世界ではまるで別人のようだ。少なくとも俺達と敵対するような眼をしてねぇ。」
――猿飛は目を細めて「名前ちゃんのおかげかな。」と呟く。
一瞬、見たこともねぇ顔をしていた。
この男がこんな表情するはずがねぇ。
見間違いかと、目を瞬かせるとすぐにいつも見るような胡散臭い笑みを浮かべる。
「俺様、あんまり名前ちゃんと竜の旦那、近づけてほしくないんだよね。風呂場にいる竜の旦那にそう伝えておいてよ。」
そう俺に言うと、猿飛は姿を消した。
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