戦国無双短編 | ナノ ×♪♪♪
「兼続って、イカだよね」
「何?」
箸でイカをつまみ、視界にいる兼続と並べる。
「うん。やっぱりイカだ」
「どういうことだ?」
首を傾げ、兼続は紅蓮の隣にずり寄って来る。
紅蓮はにんまりと笑い、兼続の頭を指差した。
「これとか、イカじゃん」
「…ふっ」
「何…?」
いきなり笑い出す兼続に、紅蓮は皺を寄せる。
一応、自分は相手をけなしているのだ。
なのに、彼は笑っている。
「どうしたの?」
「紅蓮、私はイカではないし、イカとは全く違う」
いや、それ当たり前ですからと言ってやりたくなったのを堪えた。
恐らく、彼が言っているのは自分のそれよりも深いはずなのだ。
「これだ」
「っ!」
兼続は紅蓮を抱きしめた。
そして、顎を上げて唇を重ねる。
歯列をなぞり、軽くノックをして舌を差し入れる。
「ふっ、ん!」
そして、ようやく解放された。
咳込み、酸素を取り入れながら兼続を見上げた。
「イカはこのような事、出来ぬであろう?」
目が合った瞬間、してやったりと笑われた。
「…ばか」
2010-9/5.
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