戦国無双短編 | ナノ
1
「敵将、討ち取ったぜ!」
昨日、元親が新しく迎えた武将紅蓮は強い。
男にしては背が小さく、顔も綺麗だ。
だが…
「どったの元親さま?」
大量に返り血を浴び、戦場を奔走するその姿は死神のようだ。
「…何もない」
「?そっか」
紅蓮は槍を手に、またも敵を倒して行く。
そんな時、敵本陣に白旗が掲げられた。
「つまんねーの…」
帰陣して、自室に寝転んだ紅蓮はつまらなさそうな顔をしていた。
「…あの、紅蓮様」
「んぁ?」
静かに襖を開け、女中は紅蓮に頭を下げた。
「元親様がお呼びです」
「わーった」
めんどくせぇ…
ただ、そうとしか思えなかった―――――
「元親さま〜」
「…入れ」
「失礼しまーす」
紅蓮のこれは結構無礼な態度なのだが、大して気にしていないのか、元親は何も言わない。
「…故度の戦、ご苦労」
「…あぁ……」
欠伸をし、元親の言葉に相槌をうつ紅蓮。
「っつか、おもいっきし寝巻きっすか」
「夜だからな」
「で、何故布団が二枚?寝癖でも悪いんですか?」
「いや、俺は一枚で十分」
「じゃあ何故?」
「お前の分だ」
――――間
「Σな、なななんっ!?」
「お前は面白いからな」
元親は紅蓮を布団に転がした。
「……眠い」
「待て、そっちは俺の…」
モゾモゾと動く紅蓮を止めようと、元親は手を伸ばした。
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