戦国無双短編 | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
second




「…おい」

「っ!?」


三成が声を掛けると、バッと後ろを振り返る。


「…疑心暗鬼か」


聞かれたことに、動揺を見せる紅蓮。

それを見て、三成は紅蓮に歩み寄る。


「っお前、今の聞いてたんだろ…?」

「だからどうした」

「なら…、なら、私に関わるな!」



そのまま、紅蓮は逃げ去った。

三成はため息を着き、辺りを見渡す。

すると、何かが落ちていた。


整った庭の土を踏み、ゆっくりと近寄る。

拾い上げ、手の平に乗せてソレを眺める。


「…指輪?」


南蛮の品物の中でよくみる飾り道具。

内側に、何か文字が刻んであった。

それを見て、三成は目を見開いた――――









――翌日


「ない………」


大事な指輪が無くなった。




紅蓮は記憶喪失だった。

雨の日に、公園で倒れていた紅蓮を、孤児院の院長が発見した。

身元が分からず、捜査を頼んだが、籍すらなかった。

ただ、首からは指輪を提げていたらしい。


その唯一の手がかりが無くなった。



「…昨日の、………庭かも」

あそこ以外には思い当たらない。


紅蓮は立ち上がり、慌ただしく部屋を出た。



昨日三成と会った場所。

そこは人通りがあまりないため、紅蓮が気に入っている場所なのだ。

そこに着くと、一通の手紙が置いてあった。


中を見ても、ただの白紙。


紅蓮が首を傾げた時。


背中に、温もりを感じた。


「な、何っ!?」

「…紅蓮。ようやく見つけたぞ」


後ろから抱きしめられ、うろたえる紅蓮。

三成は更に力を入れた。


「…コレはお前のだろう?」

指輪を紅蓮の目の前に差し出す。

「っ返して!」

「質問に答えたらな」


手を挙げ、指輪を取られないようにする。


「お前、コレをどこで手に入れた?」

「…知らない」

「知らない、だと…?」

「記憶無いのよ。ここ一年分しかね」


そっぽを向く紅蓮。




ああ、やはりお前は―――



.

[] | []