戦国無双短編 | ナノ
a
「ああっ…ん…」
「お前を愛そう、凄絶に…」
紅蓮は小さい頃、元親に拾われた。
一回りほど、歳の離れた元親と紅蓮は、毎晩身体を重ねた。
「もう、むりで…っあああ!」
「イけ…」
律動が激しくなり、一気に貫かれて二人は果てた。
ぐったりとなった紅蓮を抱き寄せ、元親は囁いた。
「ゆっくり休め」
「はい、元親さま…」
ああ、私は一生この人から離れられない―――
「紅蓮様?」
朝食の時間になっても、一向に起きてこない紅蓮に、広間にいた皆はざわつく。
「俺が行こう」
元親は立ち上がった。
「紅蓮」
「も、元親さま!?」
上半身を起こすでもなく、紅蓮は目を見張るだけ。
声も力強さが感じられない。
「どうした」
「なんだか、だるくて…」
辛そうな表情の紅蓮の額に手を当てる。
「…少し熱い。休め」
元親が一言そう言うと、紅蓮は微笑んだ。
紅蓮の頭を撫で、元親は女中に流動食を頼む。
なんだか幸せな気分になり、紅蓮は頬が緩んでしまう。
「どうした」
「…いえ、少し」
元親も微笑みながら、紅蓮を抱き寄せる。
「元親様」
「置いておけ」
しばらくして、女中が流動食を持ってきた。
「食えるか」
「恐らく…」
すると、元親は蓮華で掬い、紅蓮の口元まで持って行った。
「あ、あの…?」
「食わせてやる」
紅蓮は体温が更に上がった気がした。
.
[←] | [→]