戦国無双短編 | ナノ
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「…おい」
「はい?」
「何故起きている?」
「いや、こんな状況で寝れる人がいたら尊敬しちまうって…」
一体二人がどういう状況なのかというと…
元親の布団の中で、紅蓮は後ろから抱きしめられているのだ。
「…何で、抱きしめるんですか?」
「抱きしめたいからだ」
真顔で言われた。
紅蓮は顔をあからめた。
紅蓮が元親に士官したのは、前から興味があったからだ。
最初は豊臣軍で短期間の雇われ傭兵だった。
しかし、秀吉が土佐に攻め行った時、元親を見た。
戦場には不釣り合いの三味線を持ち、妖艶たる雰囲気をもつ土佐の大名。
それからすぐに、紅蓮は豊臣軍を抜けて元親に士官しに来たのだった。
「…紅蓮」
「な、何ですか?///」
ああ、俺の顔がはっ赤なんだろうな。
そう思いながら、身をよじって顔を向けた瞬間、後頭部を押さえ込まれ、口づけをされた。
「んっ…んー!」
先ほど(短編参照)とは違う、激しく深い口づけ。
歯列をなぞられ、口内を犯される。
舌を絡め取られ、何度も何度も吸われ、呼吸もままならない。
口の端からは、それによって溢れ出した液が少しだけ垂れた。
「…俺が怖いか、紅蓮」
暗闇の中、元親の目が光っていた。
蝙蝠、とはよく言ったものだ。
しかし、恐怖と驚きの入り混じった表情で紅蓮は元親を見上げるだけ。
「…怖いか?」
「………っ、ぅ………ぁ」
―――――怖い
「ご、め…なさっ!」
「紅蓮…」
「元、ち…か、さま…」
「…泣くな、紅蓮」
元親は紅蓮の涙を指で救った。
「…まさかとは思ったが、貴様、生娘か?」
「し、仕方ねーじゃんか」
紅蓮は涙を溜めたまま頬を膨らまし、プイとそっぽを向いた。
瞬時、元親は欲望を掻き立てられたのだが、なんとか抑えた。
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