戦国無双短編 | ナノ
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「―――紅蓮」

「っあ、三成さん…」


風呂上がりらしい。

なまめかしい雰囲気を醸し出し、目の前に立つ男を、紅蓮は頬を染めながら見上げる。


「お前も入れ」

「え、でも…着替えもありませんし…」


言い澱む紅蓮に、三成は無言で何かを手渡す。

そして紅蓮を風呂場に押しやった。


手の中にあるのは、バスタオルと…


「着替え…?」


下着と洋服。しかも女物。


「…………………」


どう反応したら良いのか、紅蓮はほとほと困り果てた。

















「ちっ、左近め…」


紅蓮に手渡した着替えは、三成が前に左近から贈られたものだった。




『女性を家に泊めるなら、このくらいはあった方がいいですぜ』

『…左近、貴様』

『ああ、それを買ったのは社長婦人ですよ。届けるように頼まれただけです』

『………………』




社長婦人は、いつも三成を誰かとくっつけようとする、秀吉社長の奥方である。














しかし、これでは三成が過去、女を連れ込んだことがあると言っているようなものである。


三成はとりあえず、紅蓮が出てくるのを待つことにした。













「…三成さん」

「上がったか」


風呂場の方から、紅蓮がそろそろと出てくる。

多少(?)露出が多い服だったことに三成は驚きながらも、とりあえず座るよう促した。


「…三成さん、お聞きしても良いですか?」

「……何だ」


三成は冷蔵庫からビールを二本持ってきて、一つを紅蓮に手渡す。

受け取りながら、紅蓮は質問を続けた。



「どうして、私に……キスをしたんですか?」


あやうくビールを吹き出しそうになりながら、三成はテーブルに、まださして中味が減っていない重たい缶を置いた。


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