いちばん
七月中旬。
「1126年にフン人が異動してきたので、ゲルマン人の大移動が起きました。覚え方は、人々逃げろ(1126)フンが来た、です」
キレイに掃除された黒板で授業するのは気持ちがいいな。
人々逃げろフンが来たかぁ。
懐かしいな。私もそうやって習ったんだもんなぁ…
私が懐かしんでいると、ちょうどチャイムが鳴った。次は帰りのHRだ。
明日から夏休みだからか、生徒たちはやけにテンションが高い。
「では、他の日本史や地理の子たちが戻ってくるまで静かにしておくこと」
と言ってみるものの、やはりというか静かにする生徒なんていない…いや、一人だけ黙々と帰る準備をしている子がいた。
毛利元就くん。
私がやって来てもう一ヶ月半くらい経つのに、一向に懐いてくれない。はぁ。私の何が気に食わないんだろう…。
「叶架はsummer vacationは何をするんだ?」
悩んでいる私に政宗くんが話しかけてきた。まったくもう。
「先生って言いなさいよ。私はまだ何も計画をたててません」
「Ha!この俺にtecherと呼ばれたいだと?まだまだ甘ェな…って計画無しかよ、ツマンネーな」
政宗くんは別の意味で失礼な生徒だ。初日に遅刻してきて反省文を書かせたんだけど、すみませんでしただなんて思ってもない事を書いてたな。
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