さんばん
「では、皆さん始めまして。私は吉田叶架です。前田まつ先生が急に産休に入られたので代わりに来ました。卒業までよろしくね。ちなみに担当は世界史です」
私が軽く挨拶をすると、元就くんが嫌そうな顔をしていた。
「元就くん、どうかした?」
「…我は貴様の授業を受けねばならぬのか」
………ちょっと。さすがにコレはないでしょう。正面きって私の授業を受けたくないだなんて酷すぎる!
「元就くん、あなた授業にでなくてもよろしい。そのかわり点数は0です。いくら自分で勉強してテストで良い点を取ったってあなたの点数は0です」
「っな…」
元就くんの慌てた顔。
ふふん、新米教師だからってなめられちゃ困るんだから。
「何か文句でも?」
私が聞き返すと、元就くんは押し黙ったまま俯いた。
「…授業は受ける」
次いでボソリとそう聞こえた。ひとまずコレでOK。
「じゃあHRを終わります。1時間目に遅れないようにね」
号令がかけられないまま、私は教室を出る。何だかこれから大変そうだなぁ…
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