ろくばん
長曾我部に謝ってこいと長時間にわたって(およそ一時間)説教され、叶架を探しておるのだが…見つからぬ。
いつもは嫌というほどに目についていたというのに、探している時に限って姿が見えぬ。ええい!何故我があやつを探さねばならぬ!
「…あれは」
なにやらえらく上機嫌な真田が伊達と会話をしておる。
…伊達、貴様よくも二人三脚で長曾我部と共に謀ったな!
「何をし…それは」
真田の手にあったクッキー。それには見覚えがある。
「真田、それは…」
「叶架殿に貰ったでござる。元は誰かにやるつもりだったらしいのだがごみ箱に捨てようとしていたので某がいただいたでござる」
…自惚れでも何でもなく、それはきっと我に渡すつもりだったのだろう。
「真田、それを我に渡せ」
「嫌でござる。これは某が叶架殿にいただいた。それにこの髪紐も叶架殿が結んでくださったのだ」
…真田も菓子が好きな故、渡さぬであろうな。それに髪を結んだということは、叶架は真田の髪に触れたのだな。
「某は政宗殿と打ち合わせがある故、もう行くでござる」
そう言って真田は伊達の腕を引っ張って去って行った。
「オイ、真田幸村」
「何でござるか?」
「ワザとか?」
「当たり前でござる」
「…I'm very astonishment」
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