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よんばん

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蒼軍と紅軍は接戦を繰り返していて一瞬たりとも気が抜けない。今は同点だ。


そして今は昼食の時間。

元就くんに、仲直り出来るかなと思って彼が気に入ってくれていたクッキーを作ってきた。けど、どうも渡せそうにないや。

目の前にはごみ箱。うん、いっそのこと捨ててしまおっか。
私がクッキーをごみ箱に捨てようとした瞬間。真横から物凄い視線を感じたから私はそっちに顔を向けた。そしたら目を輝かせている真田くんがいた。

「…さ、真田くん?」

「クッキーを捨ててしまうのでござるか…?」

…もしかして、真田くんもクッキー好きなのかな?

「…いる?」

「よろしいのでござるか!?」

「うん、いいよ。あげる」

ニッコリ笑いながら真田くんにクッキーをあげる。ラッピングしてた赤いリボンを解いて慌ただしくクッキーを摘み口に入れる。
そんなに好きだったのか。

「まっこと美味にござる!」

「そっか。ならよかった」

「…叶架殿?」

不意に真田くんの指が私の頬に触れた。そして真田くんは不安げに私を見る。

「何故泣いておられるのだ?」

「っえ…?」

離れた真田くんの指には涙とおぼしきものが一粒。どうして私は泣いたの?


「自分では分かっておられぬ様子。叶架殿、御免」

すると私の身体は浮いた。気がつくと真田くんに抱き上げられ(所謂お姫様だっこ)ていた。

「真田くん!?」

「ここは一目がつきまする。場所を移動するでござる」

なんだか真田くんがかっこよく見える。私はそのまま身を任せることにした。だって、ひょっとしたら私は誰かに縋りたかったのかもしれなかったからだ。


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