さんばん
プログラムの1と2の競技が終了した。プログラム3番の二人三脚がもう始まるというのに私の相方である政宗くんの姿はない。一体何処に行ったんだろうか。
辺りをキョロキョロと見渡していると、A組の長曾我部くんと言い合いをしながら元就くんがこちらにやってくる。
あれ、政宗くんは…?
「よっ叶架」
「初めましてかな、長曾我部くん。ってキミも呼び捨てなんだね…政宗くんと一緒」
私は何だかおかしくてクスリと笑った。すると元就くんに睨まれた。え、何故?
「政宗がいねェから代わりにコイツを連れて来たんだ」
「長曾我部、貴様っ!」
元就くんが目を吊り上げて長曾我部くんを殴る。けれどおみとおしとでも言うかのように長曾我部くんはヒラリとかわした。え、長曾我部くん不良なの?
それにしても政宗くんは何処に行ったんだろう…私の余寒ってコレだったのか。
「んじゃ、よろしくな〜」
「長曾我部、貴様っ!」
さっきと変わらないセリフで去っていく長曾我部くんに叫ぶ元就くん。そっか、そんなに私が嫌いなんだね。
「元就くん、私が嫌いなんだろうけど二人三脚が終わるまで辛抱してくれるかな?」
「なっ我は…」
そこで元就くんは押し黙ってしまった。ほら、やっぱり私が嫌いなんでしょ?
そんないたたまれない空気の中、二人三脚が始まった。
私と元就くんは一位だった。喜ばしいはずなのに私たちは無言で背を向けその場を去った。
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