にばん
「Stop!待て叶架」
いきなり後ろから政宗くんに肩を掴まれた。
「なに?」
「予算が足りねェ」
政宗くんに手渡された紙は予算増額申請書だった。一体何に使うのかと尋ねると、刀を六本借りるのだと。
破格の値段で借りれるらしい。仕方ないな、これも思い出作りだと思い、私は受理した。
すると反対側から
「叶架殿!これも頼み申す!」
幸村くんが、政宗くん同様予算増額申請書をもってきた。
幸村くんは槍を二本借りるそうだ。最近はそういう武装が流行っているの?
とりあえずこちらも受理する。
「Thanks!」
「感謝するでござる!」
二人がとびきりの笑顔でお礼を言ってきた。可愛いなぁもう!…高校三年生の男子に可愛いは失礼かもしれないけれどね。
そして帰りのHRが終わり、元就くんに視線を向けてみると反らされた。そしてすぐに彼は帰ってしまった。
気のせいなんかじゃない。元就くんは私を避けている。
私、何かしたかな。
――ズキッ
胸が痛い。何だか酷く悲しい。
何で私はこんなにショックを受けているの?
原因はわからない。
ああ、何だか泣きそうだ。
私はすぐさま職員用のトイレに篭って静かに泣いた。
この深い悲しみの原因は分からぬまま――――
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