さんばん
「お待たせ!」
部屋にヒョイと顔を覗かせてみれば、元就くんが上体を起こしていた。
「あ、丁度よかった」
微笑んで彼に近づき、じゃ〜んと言いながらプリンを見せる。
「元就くん、食べる?」
「食すに決まっておる」
相変わらずだなぁと思いつつ、スプーンで掬って口元まで運ぶ。
だけど元就くんが口を開けてくれない。何故だ。
「…そなた、一体何を」
「ほら、あ〜ん」
…あれ?何で元就くん顔がすごく赤くなっているんだろう。
熱が上がったのかな?
「ほら、あ〜ん」
やがて観念したのか、元就くんが口を開けた。うわ、歯が真っ白でキレイだ。うらやましい。
彼の舌の上にちょこんとプリンを乗せる。
「おいしい?」
私が聞くと元就くんは微かに頷いた。ならよかった。
全てを食べ終えた元就くんは掛け布団にくるまってしまった。
ゆっくり休んでほしいな。
…あれ、焦げ臭い。
「あーっ!」
クッキーが丸焦げになってしまい、風邪が治った元就くんに怒られる日はそう遠くはない。
私はうなだれた。
その頃元就は、プリンが美味しいかと聞かれ、頷いた瞬間の叶架の笑顔が可愛かったと思っていましたとさ
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