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mami様へ捧げます。
相互記念話。

ミッション:偽恋ゲーム番外編


※注意※
このお話は本編とは夢主が異なります。
偽恋ゲームの斎藤君との夢小説になりますが本編とはまったく別のお話だと思って読んでください。



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美人は得だとか。
もてるから羨ましいとか。
苦労しないよねとか。

みんな好き勝手言ってくれる。
私は嫌だ。
良かったなんて思うことは一度もない。
たったの一度も。






イミテーション×イミテーション






「俺と付き合ってください!」

「ごめんなさい。」

「即答…なんだ。」


目の前で苦笑いを浮かべる彼の名前を私は知らない。
どこのクラスとか、学年さえわからない。
そしておそらく彼だって私のことは名前と顔ぐらいしか知らないはずだ。
そんな間柄で告白されてどうしていい返事ができるのか、考えなくてもわかりそうなものだけど。


「じゃ、私はこれで。」

「あ、待って!!」


中庭から校舎へ戻ろうとする私をそれでも彼は引きとめようとした。


「何か?」

「あの…どうしてもだめかな?」


こういうことはよくあるけれど、こんなに食い下がる人は珍しい。


「ごめんなさい。」


頭を下げてそれでも断る私に彼も同じように頭を下げた。


「一日!お試しでいいから!どこか遊びに行かない?もしかしたら気持ちが変わるかもしれないし!」


勢いよく話しながら彼が私の腕を掴んだ。
ぴくりと眉が動いたのが自分でもわかる。


不快だ。



「離してください。」

「ね?試しにさ!」


日本語が通じない人は本当に無理。
思い切り手を振り払おうとした時だった。


「何をしている。」


突然後ろから聞いたことのある低い声が聞こえた。振り向くとそこには風紀委員の腕章をつけた斎藤君が立っている。


「斎藤…なんだよ、邪魔するなって。」


私の腕をまだ掴んだまま、彼は斎藤君に話しかけた。話し方からして彼も同級生なのかもしれない。


「邪魔?邪魔だったのだろうか?」


綺麗な青い目は真っ直ぐに私を見ていた。
これはつまり…助けてくれようとしてる?


「いえ、私も困ってます。」

「だ、そうだ。その手を離せ。」

「…まだ、俺諦めないから。」


そう言うと彼はゆっくりと手を離し、去っていった。
私はその後姿を見送ると斎藤君の方へ向き頭を下げた。


「ありがとう。」

斎藤君は少し驚いたような表情をして首をふった。

「いや。あんたも大変だな。」


あんたもという言葉に斎藤君も色々な女の子から告白されていることを思い出した。
無理もない。見た目はもちろん、頭もいいし、真面目でしっかりしてる人だ。



「うん…正直困るんだけどね。」


斎藤君ほどではないだろうけど、私もよく色々な人から告白をされていた。
美人の類に入るのかもしれないけどそんなの自分では思ったこともない。だって生まれてからずっと見てる顔なんだし。


こんなことを言うと大抵の人には嫌味だって言われるんだ。
でもわかるんだろうか、好きでもないどころか名前も知らない相手に告白されて断り続けるこちらの気持ちが。

外見しか見られていないこちらの気持ちが。


「…そうだな。」

「え?」

「知らない者に付き合えだのなんだの言われても困るだけだろう。」


ああ、やっぱり。
斎藤君ならわかってくれると思ったんだよね。


「うん。そうだよね。」


私は近くにあったベンチに座ると斎藤君も隣に座った。


「斎藤君はさ。誰かと付き合わないの?」

「俺は卒業するまで学業と部活に専念したい。それに…。」

「それに?」

「あんたと同じだ。好きでもない相手と付き合ってどうする。」


初めて私の話をわかってくれた。
嫌味だとか言わないで聞いてくれた。
それが嬉しくて、同じ考え方なのも嬉しくて。


それのせいだ。
私がこんなことを言ったのは。



「ねえ、斎藤君。」

「?」

「私と付き合ってくれませんか?」

「…は?」



目を丸くする斎藤君の手を掴み、私は真剣に彼を見つめた。

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