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斎「本当は何も言わずあんたを連れていくはずだった。」



 「どこに?」



斎「教室だ。雪村が待っている。いや、他にも待っている者がいる。」


 「え??なんで?」


斎「あんたを祝うためだ。」


 「え!?」


サプライズパーティってやつ!?
あ、もしかしてそれでみんな放課後の予定を聞いてたのかな??


斎「雪村が思いついて、他の者はさっき説明されているはずだ。皆あんたを待っている。」


あれ?じゃあみんなが予定を聞いてきたのは別物?…ま、いっか。


斎「だが俺は…。」


 「??」


斎「あんたを一番に祝いたかった。」


 「え?」


斎「誰よりも早く。あんたにおめでとうを言いたかった。それがずるいと言った理由だ。」



サプライズするはずだったのに、言っちゃったからってこと?
でも何で?



斎「…あんたが好きだからだ。名前。」



 「!?///」



好き?
好きって言った!?
一が!?




ずっと好きだった人に。
好きと言われるってこんな感覚なんだ。

ふわふわとあったかいような。
だけど心臓がうるさくて。



 「私も…好きだよ?」



絞り出すようにやっと一言紡ぎだすと恥ずかしくて。
少し俯いてしまうとふわりと一の手が頬に移動する。
その感触に思わず顔を上げた。



斎「受け取ってもらえるだろうか?」



そう言うと一はポケットから小さな箱を取り出した。
中には綺麗な石のピアス。



斎「あんたの誕生石だ。」


 「いいの?こんな綺麗なピアス…。」


斎「あんたにつけてほしい。」


つけていたピアスを外すと一がプレゼントのピアスをつけてくれた。
鏡で何度も見てしまう。


斎「よく似合っている。」


 「ありがとう///」


斎「…そろそろ行くか。怒られてしまうな。」


一に手を掴まれ立ち上がる。
荷物をまとめて部室を出た。


こんな赤い顔でパーティに出られるだろうか?
千鶴ちゃんはともかく、勘の鋭い総司がいたら何か言われるにきまってる。

なんとか教室につくまでに落ち着こうと深呼吸していたのに。



斎「名前。」


 「どうしたの…っ?」


ぐいっと手をひかれ、言葉は吸い込まれるように消えていった。
それがキスだということに気がついた頃には一の口は耳元にあって。


斎「途中で抜け出すぞ?」


普段しないような少し意地悪な笑顔に顔の熱が一気に復活し。



 「一の馬鹿!!!」


斎「Σ何故!?」



手を振りほどいて教室に走り出した。



だってなんかずるい。




千鶴ちゃんにバックドロップしてもらうのは総司や平助だけじゃなくて一も入れてしまおうと考えながら。



追いかけてくる一を笑顔で待った。






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