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まあ、授業が終わった後。
案の定といいますか、昼休みに職員室に来いと土方先生に呼び出されました。



土「おい、何でお前だけなんだ?」


 「…私が聞きたいです、先生。」


呼び出されたのは総司と私だったのに、今土方先生の目の前に立っているのは私一人。


土「はあ…逃げやがったな。」


 「そのようで。」


土「お前は巻き込まれただけだろ。今日のところは注意で終わりだ。」


 「やった!先生さすが!」


土「次やったら逆さ吊りだ。」


 「…暴力反対。」


土「ほらよ。」


いきなり土方先生が私に何かをふわりと投げた。



 「お菓子?」



私の手の中には購買で売っているような安いものじゃない、どこかのお店で買ったであろうお菓子の包みがあった。



 「何で??」


土「なんでってお前…。まあいい。名前、今日の放課後…。」


原「お、名前じゃねえか。珍しいな、お前が呼びだされてるなんて。」


土方先生の言葉を遮るように原田先生が会話に入ってきた。
原田先生の席は土方先生の隣で、彼が座ると私は挟まれるように立つことになる。
…何だろう、この圧迫感。


 「別に何もしてないですよ。巻き込まれただけです。」


原「総司か?」


詳しいことは何も言ってないのに。
土方先生の眉間の皺で全てが伝わるのか、原田先生は困ったように笑っていた。


原「お、そういえば名前。お前昨日から始まった映画見たいって言ってたよな?」


 「あ、あれ!?うんうん!話もおもしろそうだし、出てる人が好きなんだー!原田先生も興味あるんですか!?」


原「ああ。それでな、チケットもらったんだけどよ、お前今日…。」


土「あー、お前そろそろ戻れ。授業始まるぞ。」


原「は?土方さん、まだ十分以上休み時間残ってるぞ。」


土「うるせえ、こいつは次移動教室なんだよ。さっさと行け。」


 「え??あ…はい。じゃあ失礼します。」


なんだか無理やり会話を終了させられた気がするんだけど。
でも明らかに機嫌の悪そうな土方先生にそれ以上何も言うことができず。
お菓子のお礼だけ告げて私は職員室を後にした。



教室まで戻る廊下はまだ生徒がたくさんいて賑わっている。
そりゃそうだよ、まだ授業何て始まらないもん。
なんで土方先生怒ってたんだろ?
そう言えば何か言いかけてたな。

原田先生もチケットがどうのこうの言ってたけどもしかしたらくれるって言おうとしてたのかな!?…後でもらいに行こう。


 「おい…。」


 「?」


不機嫌そうな低い声に呼びとめられた。
振り向くまでもない、この声は。


 「風間先輩??」


風「貴様、どこにいたのだ?どこかへ行く時は必ず俺に連絡をしろと何度言わせればわかる?この俺が自ら探しに来てやったのだ、ありがたいと思え。」



…黙っていればすごいイケメンなんだけどな。
黙っていれば。

学年も違う。
部活も違う。
何の共通点もないのに何故か絡まれる。


 「すみません、職員室に…。」


あれ、何で謝るんだ私。


風「職員室だと?あの教師共、我が妻を呼びだすとは自分達の立場がわかっていないとみえる。」


わかっているから呼びだしたんだと思います。



この人に付き合うと長いから私は踵を返して教室に向かい歩き出した。
いくら休み時間がまだあるとはいえ、相手は風間先輩ですから。


風「待て、どこへ行く?」


 「教室ですけど。」

スタスタ歩き出す私の横で同じ速度で風間先輩も歩き始めた。

風「名前、今日の放課後はあいているな?」


 「え?今日?…何でみんな今日の放課後の予定聞いてくるんだろ。」


風「みんな?どういうことだ?」


 「総司も平助も土方先生も原田先生も。なんかみんな今日の放課後…って言いかけてたから。」



風「…なるほど。まずはあいつらから消さねばならぬか。我が妻よ、少し遅れるかもしれぬが必ず迎えに行く。教室で待っているが良い。」



そう言い残すと風間先輩はくるりと向きを変え職員室の方へ向かっていった。



 「あ…いや、私は千鶴ちゃんとデートが…。ま、いっか。あの人だし。」


別に無視してもいいよね。
うん、いいや。

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