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斎「俺だ。」


平「おっ、一君かー。何命令するの?」


平助が楽しそうに一に問いかけると一は自分のバッグから何かを取り出し…。



斎「一番と五番はこれを。」


沖「…ポッキー?」


平「まさか一君、ポッキーゲームしろってこと?」


んなベタな。


斎「王様ゲームでこれは鉄板なのではないのか?」


土「ま…まあ確かにそうかもしれないが。」


原「教科書通りって感じだな、お前。」


平「で、誰?一番と五番。」


原「俺が五番だ。」


沖「一番は?」


自分の手で握りしめた割りばしを再び見つめる。
何回見ても一番って書いてある。
つまり、私か。


 「はい…。」


原「名前?そうか、ラッキーだな、俺。」


平「左之さん!ぎりぎりんとこで止めろよ!?絶対止めろよ!!!」


土「名前、嫌なら無理するな。斎藤命令変更しろ。」


沖「そうだよ、左之さんとポッキーゲームなんてしたらゲームじゃすまなくなるからやめた方がいいよ。」


原「お前ら…。俺を何だと思ってるんだよ。王様の命令は絶対なんだろ?」


原田さんは一の手からポッキーを取り上げると袋をあけて一本取り出した。


原「お前チョコのほうやるよ。」


そう言って私の口にポッキーを差し込んだ。


 「あああああの原田さん!?」

ポッキーを落とさないように原田さんに叫んだ。だって私の後頭部をがっつりホールドしてるんですけど!
無駄に近くないですか!?
綺麗な顔が近くにあって心臓が爆発寸前ですけど!!!


原「ん?」


ぱきぽきとポッキーが食べられていく。
私は全く進んでいないけど、原田さんがどんどん近づいてくる。

近い近い近いいいいい!


原田さんとの距離、あと三センチ。
といったところで私と原田さんの間をものすごいスピードで何かが通り過ぎた。


――パキンッ


どうやら総司の手刀が通り過ぎたらしい。
私と原田さんがそろって総司を見上げる。



沖「はいそこまでー。止めないと左之さん最後までやりかねないからね。」



原「まあ俺は最後までしても構わないけどな。」


沖「名前は嫌がるでしょ?」


平「総司の言うとおり!ほんっと左之さんは…。」


土「おら、さっさと次いくぞ次。」


斎「では…。」


平「王様だーれだ!?」


訪れる沈黙。
そして。


沖「僕だよ。」


全員にきっと寒気や恐怖が走ったに違いない。
それはそれは悪魔のような微笑みで割りばしを振っている総司がいたんだから。


沖「そうだな…どうしよっかな。」


口元に手をあてて何か考え込んでいる。
怖い…。
絶対嫌がらせのような命令しかないはずだし。


沖「じゃあ…一番と二番は今からここにいる全員分のご飯買ってきて。僕お寿司食べたいなあ。四番は駅前のケーキ専門店で一番人気のやつ並んで買ってきてもらって、五番はお酒ね。はい出発。」


 「へ?」


私は自分の割りばしを見る。
三番だ。見事に命令を免れた一人になっている。



土「は?」


平「え?飯!?」


斎「酒か。」


原「俺も飯ってことは、土方さん…ケーキかよっ。あははははは!」


土「総司!てめえ何か仕込んだか!?」


沖「人聞きの悪いこと言わないでくださいよ。たまたまです、たまたま。」


土「たまたまってことあるか!?」


沖「いいから早く行ってきてくださいよ。お腹すいたなあ。」


全員文句を言いつつ財布を持って部屋を出て行った。きっとみんなが戻ってきたら宴会が始まるんだろう。


沖「で、三番さんは。」


 「え!?私にも何か命令があるの!?」


沖「当たり前じゃない。」


なんだろう?
食べ物も飲み物もデザートまでみんなが調達しに行ったし。
あ、みんなで遊べるもの持ってこいとか?



私が命令されることを考えていると総司が私の手をひき、自分の膝の上に座らせる。

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