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沖「失礼します。」


職員室のドアを開けると僕の声に気がついたのか土方さんがこっちを向いた。
多分すぐ後ろの名前に気がついたんだろう、少し驚いたような顔をしている。


土「どうした?」


土方さんは目の前の書類に目を通していて僕達の方を見ずに話した。
多分何か勘づいたんだろうね。僕達の関係。


名前と思いが通じ合ったというだけで僕はどうやらいつもの僕に戻ったみたいだ。
だってもしかして妹をとられるんじゃないかって内心ひやひやしてる土方さんをどういじめ…いや、からかってやろうかって考えちゃうもの。



沖「土方さん、僕達付き合うことになりました。」


 「あ、総司!」


土「…てめえはさっきの俺の話聞いてたのか!?」


案の定土方さんの雷が落ちた。
驚いているのは近くに他の先生たちぐらいだけどね。だって僕は慣れてるし。


沖「聞いてましたよ。だから僕、名前の為にちゃんと将来を考えました。まだちゃんとやりたい仕事とかまで考えられてないけど、いろいろ調べて探していこうと思います。」


しっかりと目を見て土方さんに伝える。
付き合いが長いから僕が真剣に言っているのかどうか土方さんはわかるはずだ。


土「…ちゃんとその紙が書けたらお前らのこと少し考えてやる。」


 「ほんと!?お兄ちゃん!」


土「すぐに認めるわけじゃないからな!」


相変わらずシスコンだよね。
名前が喜んじゃったから認めたいような認めたくないようなの複雑な顔になってますよ。


沖「あ、ちなみに紙、一度書きますね。ペン借ります。」


 「もう書けるの?」


沖「うん。」


さらさらと第一希望、第二希望に書きこんでいった。
書き終わると土方さんの机の上に置き、僕は名前の腕を掴んだ。


沖「ではそろそろ昼休みも終わるので失礼します。」


 「わっ総司ひっぱらないでよ。またね、お兄ちゃん!」


ほらほら、早く歩いて。名前。
また土方さんの雷が落ちるんだから。



職員室を出た瞬間。



土「総司ーーーーーー!!!」



土方さんの雷が落ちていた。
ごめんね、他の先生達。



でも反応がおもしろすぎて僕は思わず吹きだしてしまう。
すると名前が不思議そうな顔で僕を見た。


 「総司、何て書いたの?」


沖「うーん。秘密かな。」


 「ええ!?ずるいよ!教えて!」


沖「あはは。どうしよう。」


廊下を名前の腕をひいて歩く。
さっきまで沈んでいたのに単純なもんだ。


沖「名前。」


 「ん?」


沖「好きだよ。」


 「っ!!総司…恥ずかしいよ。」


空いている手で顔を隠そうとするものだからその手を掴んで顔を覗き込む。
つい意地悪したくなるのは僕の悪い癖なのかも。


沖「名前は?僕のこと好き?」


 「えっと…。」


沖「嫌い?」


 「嫌いじゃないよ!」


沖「じゃあ好き?」


 「す…好き…。」


沖「はい、よく言えました。」


チュッとおでこにキスをする。
さすがに誰かいるかもしれないし唇は我慢するよ。
土方さんに見られたらそれこそ大変なことになるからね。



 「いっ今…今…。」


沖「今日はどこか寄り道しようね。」


おでこを抑えて口をパクパクさせている名前の手をひいてまた歩き出す。


沖「何か甘いものでも食べて帰ろう。で、その時は…。」



――ちゃんとキスさせてね。



耳元でそう言うと名前は完全にフリーズしてしまったみたいで。
その様子が可愛いから思わず抱きしめたくなったんだけど。


ものすごいスピードで僕達を追いかけてきた土方さんに邪魔された。


放課後は何が何でも名前を連れて逃げ出さないとな。


名前と思う存分イチャつける日々はまだまだ遠そうだとため息をついた。








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