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 「おはようございます。」


沖「おはようございます、名前さん。」


 「あ、おはよう。沖田君。」


デスクに座ると沖田君が隣に立って挨拶をしてきた。
朝はこうして彼と会話していることが多い。
と、いっても会話の内容のほとんどは一君についてなんだけど。


沖「そういえば、昨日は飲みに行ったんですよね?二人になれば恋人っぽいんですか?」


どうやら沖田君はプライベートの一君が知りたくてしょうがないらしい。
きっと一君をからかうネタがほしいだけなんだろうけどどこまで言ってしまっていいものか。


 「えー?それは…。」


斎「おはよう。名前さん。」


 「え?」


沖「一君?」


私と沖田君の間に割り込むように一君が入ってきた。
突然の出来事に私も沖田君も驚いてしまう。


というのも他の課の彼は私達とデスクが離れているから朝こうして雑談をしにくることなんてほとんどない。
いつも早く会社には来ているけどパソコンを立ち上げて黙々と仕事を始めているのが一君スタイルだもん。


斎「どうかしたか?」


 「え?あ、ううん。珍しいね。」


沖「どうしたの?一君。いつも就業前から仕事しているっていうのに。」


斎「…就業時間前に恋人のところに来て何か問題でもあるだろうか?」


え。
ええ!?


私と同じぐらい沖田君も驚いたのか。
彼の翡翠の目が大きく開いたまま止まってしまう。



いや、問題は全くないんだけど。
ん?あるのかな。
だって一君がおかしい!!!


沖「問題はないけど…。一君公私混同しないタイプだから少しだけ驚いたんだよ。」


斎「公私混同するつもりはない。今は就業時間ではないからな。」


 「一君…。」


斎「少しでも名前さんと話がしたいだけなのだが…迷惑だろうか?」



ノープロブレムですとも!
私が少し大きい声でそう伝えると一君は嬉しそうに微笑んで私の手をとり立ちあがらせた。


沖「いってらっしゃい。」


沖田君がひらひらと手をふって席へ戻っていく。
と、同時に一君は私を引っ張ってフロアを出た。
行き先は自動販売機コーナー。椅子も設置されていて休憩できるようになっている場所だ。


一君はコーヒーを二つ買うと一つ渡してくれた。私の好きな銘柄を知っていてくれるんだななんて嬉しくなる。


斎「…迷惑ではなかったか?」


 「え!?全然!!ものすごく嬉しい!」


斎「名前さんが昨日少し寂しいと言っていたから…。」


缶コーヒーを見つめて呟く一君に胸がきゅんとなる。
昨日酔っ払って言った言葉をちゃんと受け止めてくれてたんだ。あんなのワガママなのに。


 「ありがとう。こうして少しでも話せたら嬉しいよ。」


斎「良かった。」


その後は次のデートの予定なんかたてちゃってあっという間に就業開始時間まで過ぎ去ってしまった。


仕事が始まれば一君はいつもの雰囲気に戻ったけれど、朝の会話のおかげで私は幸せな気持ちで仕事をすることができた。

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