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廊下でそのまま話を続けていたら隊士達が何事かと驚きそうだということで平助の部屋へ移動した。


「まずはー、誕生日はそいつの好きな物とか、うまいもんたくさん食べるらしい!」

「…そういうのはこの時代の祝いの時と変わんねえな。」

「他にはないのか?平助。」

「あとなー。≪けーき≫って甘いもん食べるって。」

「…食い物ばっかだな。」


平助に聞いたのが間違いだったのかな。
これは後で千鶴ちゃんに確認するべきか…。
そもそも≪けーき≫ってやつが手に入るかもわからないし。


「あと、≪ぷれぜんと≫っていって、何か贈り物をするんだと。」


あ。平助にしてはやるじゃない。ちゃんと大事そうなこと覚えてる。


「それからー歌を歌うって言ってたぞ。なんだっけ…えーっと…はっぴー…はっぴーばーす…で?」


「法被…?祭でもするのか?」

「斎藤、俺の予想だが≪はっぴ≫じゃねえと思うぞ。」





「あとはその人が喜ぶことならなんでもいいからしてあげるといいって。」

「なんだかぼんやりした説明だな。」

平助君の説明に土方さんがため息をついた。

「仕方ねえじゃん。聞いたのけっこう前だし。…それにしても明日かー。何してあげよっかな〜。」


そう言うと平助は楽しそうに何か考え始めた。
それにつられるように左之さんが平助の肩に手をまわして続ける。


「よし、平助。俺達は何か甘いもんでも買ってくるか。≪けーき≫ってやつは無理だろうけどよ。」

「いいねー!そうしよう!」

「俺は…何か名前が喜びそうなものを探してくるか…。」

「お前らなあ…明日非番なのは総司と斎藤だけだろうが。」

「大丈夫だってー!俺と左之さん夜の巡察だし。」


僕を残してどんどん話が進んでいく。
ちょっと…こんな予定じゃなかったんだけど。
僕が名前ちゃんをお祝いしてあげたいのに。


「ったく…ほどほどにしろよ。」

「副長、名前へ贈る物は何がよろしいでしょうか?」

「あ?…あいつが喜びそうなものだろ?…意外と女らしい物が好きだからな。簪か、紅か…。」


うわ。
土方さんって女の人に慣れてるからこういうときすらすら出てくるよね、一君と違って。
だけどこの二人で組まれると厄介だなあ。


「土方さんは歌担当でしょ?何か良い句でも詠んでくださいよ。」

「おい、歌違いだろうが!」

「あはは!いいねー!それ!土方さん!なんか祝いの句とか詠んであげたら名前喜ぶかも!!」

「っくく…喜ぶっていうか…あいつ笑うんじゃ…。」

「おーまーえーらー…。」

「うわっ!待った!!!土方さん冗談だって!!」

「やべっ!平助逃げるぞ!!」

「…簪か…あいつに似合いそうな色は…。」



ねえ。
やっぱりまた僕をおいて話が進むんだけど。
平助と左之さんは土方さんと追いかけっこはじめるし。一君はぶつぶつ何か唱えてるし。


…何この状況。



まあそれにしても情報は聞き出せたし、後は実行するだけか。
みんなには悪いけど、僕はみんな一緒にお祝いする気なんてさらさらないからね。


「じゃあ明日朝からみんなで準備しようよ。名前ちゃんに気付かれないようにね。夜は千鶴ちゃんがきっと何か作ってくれるから。」


僕がそう言うとみんなわかったと頷いてとりあえず解散となった。


…ああ、明日が楽しみだよね。

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